コラム・事例紹介

福岡県みやま市「エネルギーの地産地消」

  • 登録日 2017年03月16日
    カテゴリー取組事例集

     福岡県における人口4万人のみやま市による「エネルギーの地産地消」の取組が注目を集めています。「エネルギーの地産地消」は、地域に必要なエネルギーを地域のエネルギー資源によってまかなうことで、地域の「稼ぐ力」を高めようとする取組です。その具体化に向けて、みやま市は全国に先駆けて自ら地域新電力会社を設立しました。
     「稼ぐ力」の強化に向けて、電力料金の支払先の見直しに着目した点がユニークです。
     取組の概要について、環境経済部エネルギー政策課でご担当する藤吉裕治課長と渡邉満昭係長にお伺いしました。

Q.みやま市では、なぜ「エネルギーの地産地消」に取り組んだのですか?

 みやま市は、福岡県南部の平坦な田園地域に位置する都市です。農業以外の産業集積が乏しく、昭和60年以降一貫して人口が減少し、高齢化も進んでいます。人口は過去10年で5,000人減少しました。
 人口が減少しているのは、ずっと社会減が続いているためです。過去平成26年も300人近い社会減となっています。社会減を抑えるためには、雇用を創出しなければならず、その手段のひとつとして取り組んだのがエネルギーの地産地消です。




みやま市 

 まず、平成24年に「みやま市大規模太陽光発電設備設置促進条例」を制定し、市内の太陽光発電事業を後押ししました。市自らも市内事業者と共同で株式会社みやまエネルギー開発機構を設立。遊休地に太陽光発電施設(5MWのメガソーラー)を建設し、発電事業に進出しました。翌年3月には市議会の全員協議会で説明し、電力販売を行う新会社設立の準備を開始しました。
 人口4万人足らずのまちで、電力会社設立という先駆的な事業を始めたのは、市長が実施を決断したからです。市長は商社出身ということもあり、地域で事業を起こし、お金を回すことを重視していたのです。
 既に新電力会社の設立に先立ち、㈱みやまエネルギー開発機構を設立していました。メガソーラーを市外の企業が建設しても、固定資産税や、敷地賃借料ぐらいしか落ちません。地域で発電会社を設立することによって、配当が入るなど新しい収入を得ることができました。
 この成功体験を生かし、電力自由化を機に電力小売に展開しようという発想が、新電力会社「みやまスマートエネルギー株式会社」の設立につながりました。

Q.「みやまスマートエネルギー株式会社」はどのような会社なのですか?

 「みやまスマートエネルギー株式会社」は、市が55%、残りを地元の筑邦銀行などが出資し、平成27年2月に設立された自治体が出資する日本初の家庭向け電力売買事業会社です。
 主な事業は、みやまエネルギー開発機構のメガソーラーや、市民が設置した太陽光パネルの余剰電力を買い取り、市内の需要家にそれを販売することです。みやま市内で九州電力に対して支払われる電力使用料金は30~40億円に上るといわれています。これを市内で発電される電力の購入に切り替えることができれば、域内の売り上げ、雇用が増え、税収も増えることにより、市内で循環できると考えたのです。
 一言で言えば、「支払先の変更による稼ぐ力の強化」です。
 平成27年11月からみやま市の公共施設を対象に高圧電力販売を始め、電力が自由化された平成28年4月からは市内住宅(低圧部門)にも売電先を拡大しています。現在の加入者数は約2,000件(高圧約200件、低圧は約1,800件)です。女性を中心に40名を雇用しています。
 また、最終的な目標は市民サービスの向上なので、少し安い料金で電力を提供するとともに、電力事業を通じて得られた収益の一部については生活支援サービスとして還元しています。

「みやまスマートエネルギー㈱」の事業

「みやまスマートエネルギー㈱」の事業

出所)みやま市資料に加筆

Q.提供している生活支援サービスについてお聞かせください。

 みやま市では、平成26年度に国のHEMS(Home Energy Management System)活用事業に参画し、電力データを活用したサービスの実証実験を行いました。このときに得られた市民の声を生かして、タブレットを使ってお年寄りから子供まで、誰もが手軽にサービスを受けられる生活総合支援サービスにつなげようとしています。
 具体的に取り組んでいるのは、日々の電気使用量を用いた独居高齢者の見守りサービスや、市内商店からの商品の宅配(みやま横丁)、家事代行(なんでもサポートすっ隊)などをタブレットのボタンひとつでできるサービスです。
 高齢者見守りサービスでは、見守りセンターが普段と違う電気の使い方状況を検知すると、タブレット画面にお知らせするようにしています。また、あらかじめ登録している近所の知人や民生委員の方にも通報し、声がけをしていただく仕組みとしています。
 商品の宅配は、地元の商店から商品を購入し、宅配してもらうサービスです。「みやま横丁」と名づけており、地域の商業・サービス業の振興にも貢献することを目指しています。代行サービスやコールセンター等の雇用が増えることも期待しています。

生活支援サービスの概要

生活支援サービスの概要

出所)みやま市

Q.まちづくりの面では、6次産業化を担う施設「さくらテラス」を開業したそうですね。

 「さくらテラス」は、市が出資する電力会社みやまスマートエネルギー㈱が、市民サービスのひとつとして、平成28年11月に市役所の隣接地にオープンした施設です。みやま産の野菜にこだわったメニューを揃えたレストラン・カフェテリアがあるほか、直売所でみやまの特産加工品を販売しています。また、コミュニティスペースでは、イベントやカルチャースクールなどが開催され、子どもからお年寄りまで幅広く楽しめる空間となっています。
 エネルギー事業は目に見える取組があまりありませんが、このような魅力的なまちの空間形成にも貢献しています。

さくらテラス

Q.今後の取組について教えてください。

 経営を安定させるためにも、まずは加入者を増やしたいと考えています。ご提供するサービスを含めた本取組について、電力は目に見えないこともあり、市民の理解・利用がまだまだ浸透していません。そのため、サービスの更なる充実を図っていくことはもちろん、「さくらテラス」などの関連施設も活用しながら、市民にエネルギーの地産地消のメリットなどをわかりやすくご説明し、加入者を増やしていきたいと思っています。
 電力調達の面では、地産地消を謳っているので、みやま市、隣接自治体から再エネを調達したいと考えています。まず隣接自治体を含め太陽光設置世帯について50%を当社に切り替えていただくことを目指しています。
 ただし、最終的な目的は市民サービスの向上であり、電気事業はその手段です。見守りなど、付加的なサービスについても引き続き注力していきます。
 市内中学校からの提案で「みやまの新しいまちづくり」授業も開始いたしました。子供達が大変関心をもってくれます。様々な形で次代を開くまちづくりに貢献していきたいと思います。

関連リンク

みやまスマートエネルギー株式会社
さくらテラス

登録日 2017年3月16日(木曜)00:00

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