研修・セミナー

【米子方式のまちづくり】第2回 民間事業プレイヤーの発掘から“にぎわいトライアングル”へ 杉谷第士郎

商店街〜エリアごとのまちづくり会社で進める、米子方式のまちづくり 杉谷第士郎

平均空き店舗率35%という状況からスタートしたという米子市のまちづくり。全体構想を策定してから動くというステップのとりづらい環境のなかで、タウンマネージャーである杉谷さんはどのように複数の民間事業プレイヤーを掘り起こし、それを“にぎわいトライアングル”へと発展させていったのでしょうか。「米子方式のまちづくり」が生まれる道のりには、若手商業者との連携や民間事業者の新規参入を促す環境づくりなど、さまざまなポイントがあります。

  ※本コンテンツは、2011年10月に行われた鳥取県米子市現地研修におけるレクチャーの内容を加筆・編集して作成したものです  

にぎわいの拠点をどこにつくる?

米子の場合、前回申しあげた旧法からの変遷のなかで、行政、商工会議所、振興組合からなる連合艦隊を組織して、商業活性化、まちなか居住、都市福利施設というように戦略を立て戦線を構築してからタマを込めて、という余裕はありませんでした。

とにかく米子のまちに関わるさまざまな方とお会いして、皆さんの想いや悩みを伺って信頼関係を築いていくなかから活性化の種を拾っていって、芽を出してきたものがあればそれを戦線のなかに位置づけるようにして全体戦略を練っていくという順序でした。言わばゲリラ戦からスタートしたわけです。

もう一度米子の中心市街地の地図を見ていただくと、JR米子駅周辺から始まる商店街の終点となっている高島屋さん、それからやよいデパートさんという地元の寄り合い百貨店、そしてえるもーる一番街さんという商店街があり、これが既存の商業集積ということになります。

米子市の中心商店街
米子市の中心商店街(クリックすると拡大します)

ここを衰退させないなかで、他のエリアをなんとかしていかなければいけない。高島屋さんの店長さんとお会いした時にも、そういう話になりました。

高島屋さんの店長さんはとても優秀な方で、ご相談に伺った際に、高島屋はがんばりますとおっしゃってくださいました。ただし、これから地方百貨店が30万40万人という商圏を押さえてがんばるためには、やっぱりまちとして魅力があって、周辺を歩いて楽しいという環境がほしい、と付け加えられました。私もまったくその通りだと思ったんです。

そうすると、この既存商業集積である高島屋さんから200~300メートルの四日市町というあたりを中心に若い方が面白いお店を出しているエリアがあるんです。

このあたりは組合の力が弱くなっているのと、米子は商都でしたからヨソ者を受け入れる風土がある。そこに、もとは銀行だった建物をコンバージョンしてカフェやセレクトショップが入居するQビルというのが2005年にできていました。これと並ぶように大きな駐車場があって、その周りに40店舗くらい若手商業者のお店が集まっているんです。

2005年に四日市町にオープンしたQビル
2005年に四日市町にオープンしたQビル

新しいお店というのはだいたい、そのエリアに最初にお店をつくったリーダー格の人たちに憧れて、もっと若い人たちが「自分もそういうことがしたい」ということで、エリアに張り付いてきます。東京の代官山・中目黒、大阪の南堀江も同じです。既に出来上がった銀座でも心斎橋でもないわけです。

それはやっぱり誰かがその立地を面白がって、そこに面白いお店をつくることによって出来きてきた立地です。米子といえども当然そういこうことがあって、それが四日市町のエリアということになる。

こうした若い人たちが出している面白い店や、美術館で展覧会があったりして、2時間3時間を過ごせる場所があって、高島屋も使うといったことが想定できれば、と高島屋の店長さんがおっしゃって、私もまったくその通りだなと思ったんです。

そして、この四日市町というエリアに、今井書店という本屋さんの割と大きな建物があって、書店さんは幹線沿いに新しい大きな店を出されるので、その建物が空くことになっていたんです。

高島屋からQビルまではレンガ通りといって川のほうからそのままアーケード街に抜け、図書館・美術館のほうにも路地で抜けています。ですからこの今井書店の建物を使うと、既存商業集積と周辺のエリアの回遊線をつくるという絵が描けると思いました。

次項 民間の事業プレイヤーを発掘する~若手商業者のネットワークとの連携~
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目次
(1)にぎわいの拠点をどこにつくる?
  (2)民間の事業プレイヤーを発掘する~若手商業者のネットワークとの連携~
  (3)新規参入インセンティブをつくる〜民間事業推進のコーディネート方針〜
  (4)3つのまちづくり会社が動き出す〜にぎわいトライアングルへの道のり〜

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よなご・かえる通信vol.1(PDF形式)
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杉谷 第士郎 杉谷 第士郎

米子市中心市街地活性化協議会 タウンマネージャー
米子市出身。大手流通企業にて商品開発、経営企画、新規業態開発に従事後、イタリア・ミラノにて大型複合専門店の開発・経営を行ない、以降、多数の事業提携プロジェクトに携わる。2004年にUターン。(財)とっとりコンベンションビューローにて地域資源を活かしたオリジナルコンベンション企画に従事した後、米子コンベンションセンター館長を務める。2007年春よりまちづくりNPOの設立に参画。併せて広域観光推進による地域活性化を目的としたNPO、地域の支え合い福祉ネットワーク形成を目的としたNPOに参画。2007年12月より米子市中心市街地活性化協議会・タウンマネージャーを務め、協議会活動と中心市街地活性化基本計画の策定を推進し、そのコア事業となる“にぎわいトライアングル”における民間事業の掘り起こしと事業化の推進コーディネートを行った。
オフィス・コモンズ代表。


登録日 2012年1月25日(水曜)00:00

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