コラム・事例紹介

古くて新しいまちの再生 -昭和の商店街(市場街)の土地建物をすべて買い取り一体経営-(前編)田村寛さん、高岡はつえさん

田村寛・高岡はつえ

田村 寛 氏
株式会社テラスオフィス代表取締役
大学卒業後、家業を継いで大衆割烹料理店で厨房に立つ傍ら、沼垂のまちの再生に取り組み、手作りデリの店Ruruck Kitchen(ルルックキッチン)の出店を経て、東新潟市場協同組合からすべてのシャッター店舗を譲り受け、株式会社テラスオフィスを設立。

高岡 はつえ 氏
株式会社テラスオフィス専務取締役 統括マネージャー
短大卒業後、銀行・貿易会社勤務を経て、商店街の再生に向け、田村氏からの要請を受けて株式会社テラスオフィスの設立に参画。




 新潟市沼垂は、信濃川の河⼝付近に位置し、江⼾時代から湊町として栄えた歴史をもつまちです。昭和初期から戦後の⾼度成⻑期には製紙⼯場や製油⼯場、鉄⼯所など⼯場が建ち並び、昭和30年代には、埋立地に市場が開設され、沼垂市場通りを中心に長屋式の仲卸店舗が立ち並び、賑わいのある市場街として栄えていました。
 しかし、その後、大型店やモータリゼーションの影響などから停滞。市場通り周辺の商店主が高齢化したこともあり、市場街は衰退の一途をたどっていました。
 この市場街消滅の危機にあたり、200m程の市場通りに沿った昭和の長屋式建物をすべて買い取り、地区を一体的に経営するという、大胆な発想で取り組んだのが、本稿で紹介する株式会社テラスオフィスです。
 取組を始めた田村さんと高岡さんに、沼垂テラスのコンセプトと、これからのビジョンについてお伺いしました。

沼垂テラス商店街の位置

どのようなきっかけで、沼垂のまちづくりに取り組まれるようになったのですか。

田村/
 私達は、沼垂市場通りにある割烹料理店で生まれ育ちました。それぞれ学生時代は東京で過ごしたのですが、大学を卒業して、ここに戻ってきました。
 戻ってきて、私は両親を手伝って厨房に立つようになったのですが、まちの元気がなくなっていることに気づきました。そして、まちの元気がなくなると自分の商売もうまくいかなくなると肌で感じました。
 沼垂市場通りは、もともと野菜や果物を中心とする、仲卸のまちだったのですが、私達が子どもの頃は、ほんとうに活気にあふれていて、人通りが絶えない場所でした。けれども、工場の移転や、郊外に大型店舗が開業したことの影響を受け、沼垂市場通りにやって来る人はすっかり減少してしまいました。店を営む経営者の人たちも齢をとり、徐々に閉店した店が多くなり、シャッター通りになってしまったのです。

昭和34年に撮影された沼垂市場の様子

昭和34年に撮影された沼垂市場の様子

(株)沼垂テラスオフィス提供

 そうした状況をなんとかしたいと、私は地元で沼垂の活性化に取り組んでいる有志たちのグループに参加しました。年に1回開いているテントバザー等のイベントにも参加するようになり、活性化のためには何かもっと仕掛けが必要だと考えました。そのために自分ができることは何かと考えた結果、自分の料理技術を活かし、佐渡牛乳ソフトクリームと⼿作り惣菜を扱う「Ruruck Kitchen(ルルックキッチン)」というデリショップを長屋式建物の一画に開業したのです。
 開業し、しばらくすると、結構人が来てくれるようになりました。事業としても成立すると確信がもてたので、この場所で一緒にやってくれる人がいないか探し始めました。その結果、2011年にオーダーメイド家具とコーヒーの店「ISANA」が出店し、翌2012年には陶芸⼯房「青人窯」がオープンしました。
 店舗が複数になり、いろいろなことを一緒にやって盛り上げようと、体験型ワークショップや物販などのイベントを開催したこともあり、レトロな⻑屋式建物を活用したお店としてメディアに取り上げられる機会が増えました。20代、30代の⼈を中⼼に来訪者が増え、「私も沼垂市場通りで店を開きたい」という問い合わせも入るようになってきました。

 ところが、せっかく動きがでてきたところで、沼垂市場通りの土地建物を管理する東新潟市場協同組合から、組合法の規制により組合員以外の外部者の新規出店はこれ以上できないと、新規出店にストップがかかったのです。

 ただ、協同組合も、組合員が高齢化していて、組合員数の減少とともに維持管理も困難になりつつある状況でした。お互いの出口を見出すために、話し合いを行う中で、たどり着いた結論が、東新潟市場協同組合が所有している土地建物をすべて買い取るということでした。事業を行う場合、土地建物は賃貸するというのが通例かもしれませんが、貸主となる組合による店舗管理が難しかったことから、全面買取りという大胆な手法をとることになりました。もちろん商店街を買うためには、相応の資金が必要であるため、事業として成立させるために銀行に相談し、シミュレーションを行った上で、融資をうけることにしました。
 こうして設立したのが、商店街を一体的に管理、テナントリーシングを行う株式会社テラスオフィスです。会社を立ち上げることになって手が足りず、姉に手伝ってほしいと支援を求めました。私が代表取締役を務め、姉の高岡が専務を務めることになりました。2014年3月のことになります。
 そして、商店街の再生に向けて「沼垂市場通りACTIVE再生プロジェクト」を始動させました。

再生初期にオープンした“ISANA”と“Ruruck Kitchen”

再生初期にオープンした”ISONA”と“Ruruck Ritchen”

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関連リンク

沼垂テラス商店街
古くて新しいまちの再生 -昭和の商店街(市場街)の土地建物をすべて買い取り一体経営-(後編)


登録日 2018年3月30日(金曜)00:00

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