コラム・事例紹介

「地域密着型のよそ者」タウンマネージャーの新しいかたち(前編)
商店街活性化・まちづくりアドバイザー 熊谷 慎一さん

熊谷 慎一

商店街活性化・まちづくりアドバイザー
熊谷 慎一(くまがい・しんいち)


株式会社全国商店街支援センターの支援事業担当マネージャーとして、約30都道府県の商店街支援に携わった後、2016年より商店街活性化・まちづくりアドバイザーとして独立。千葉県八千代市、長野県佐久市でまちづくり事業のマネージャーとして活躍中。静岡県出身、48歳。

千葉県八千代市八千代台と長野県佐久市岩村田の二拠点で活躍するタウンマネージャー、熊谷慎一さん。「地域密着型のよそ者」として、中心的役割を果たすタウンマネージャーの新しいかたちを尋ねました。

熊谷さんは、「外食産業から全国商店街支援センター」へ入られたとお伺いしています。

 今の職業に就くまで、いくつかの現場を経験しています。まず、大学卒業後に某ファストフードチェーンに就職しました。情報誌の企業特集でピープルビジネス(*)に興味を持ったのがきっかけです。そこで身につけたのが、人の話を聞いてアクションにつなげるというコミュニケーションスキルや、店舗運営・経営に関することでした。店長など管理職になると自分で店の貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)を作成することができます。一時期4店舗を運営していたこともあり、経営者の視点を学びました。
 ただ、17年間勤め、次第に自分で何かやりたいという思いが募ってきました。そのような思いを抱えたまま日々の業務に流される日が続きましたが、思い切って退社することを決意しました。
 そんな時、ネットで「株式会社全国商店街支援センター」の求人を見つけたんです。ファストフード店時代に商店街内の店舗を任された経験があり、商店街で仕事をするのもやりがいがありそうだと感じました。すでに全国的にも商店街は廃れており、なにか自分のスキルが生かせるのではないかと考えたからです。
 既に40歳、家庭もありましたし、サラリーマン生活とは様変わりしましたが、当時は不思議と楽観的に捉えていました。奥さんはいい顔をしませんでしたけどね。(笑)

 全国商店街支援センターに入ってすぐに、栃木県のとある商工会議所の「商人塾支援事業」の担当になりました。商人塾とは、商店街ごとの課題・ニーズを把握した上で、実践的なノウハウの習得や、商店主として必要な企業家精神・個店経営力アップのための研修を行う事業です。その研修の一環で、松井洋一郎さんに「まちゼミ」の講義をしてもらったんです。これは面白い!と思いましたね。全国商店街支援センターでも事業としてパッケージ化しようと、すぐに企画書を作成しました。わずか一ヶ月で、その後に繋がる濃い出会いがたくさんありました。
 「まちゼミ」の魅力は、まず商店街という既存の組織ではなく、やりたいことで結びついている点です。目的を持った人たちが集まって志をともにし、これからの商店街活性化やまちづくりに動いくためのきっかけとなっていることが、非常に良いと思います。組織に囚われて動きが硬直化している地域は多いですよね。
 もう一つの魅力は、店の中に入ってゼミをやることです。これがとてもいい。適度な難易度もいいですよね。まちゼミはちょっと勉強しないとできません。手軽に始められるものは目的がズレやすい傾向にあると思います。
 もちろん、上っ面だけ真似するのは危険です。まちゼミだけやればいいと思っている地域もありますが、それでは意味がないですし、まちゼミという仕組みだけではここまで全国に広まっていないのではないでしょうか。

 *ピープルビジネスとは、主に外食産業などで従業員教育に重点を置き、その人間性が優位性になっている事業を言う場合が多い。

「まちづくりのアドバイザーとして独立」されたのはいつ頃ですか。

 全国商店街支援センターには、3年半在籍しました。商人塾支援事業、広報(冊子・HP・メルマガ)、商店街フォーラム事業、まちゼミサミット、活性化計画作成支援業務等に携わりました。
 和歌山県田辺市、福岡県北九州市、島根県江津市、福岡県飯塚市など、面白い場所と人との出会いもたくさんありました。商店街にどっぷりです。ある意味やりたいようにやっていたので、とても充実していました。しかし、現地で商店街の人と話をしていく中で、人に関わる部分は組織の一員ではやりきれないと、限界を感じるようになりました。
 もともと漠然と独立できたら…という思いがあり、中小企業診断士の勉強もしましたが、40代はもう若手ではない。何かを深く掘り下げてその専門家になるのは難しいと思いました。それより、提案や人材のマッチングをするような役割の方がいいのではないかと。数ある商店街は同じように見えて個別の課題を抱えている。それを知るには偏った知識ではなく、バランスのとれたコーディネーター的な人材が必要だと考えるようになりました。
 独立しようと飛び出したところで、松井さんから八千代台(千葉県八千代市)を紹介していただくことになります。
 八千代市は、「八千代都民」という言葉があるくらい、東京の完全なベッドタウンです。市全体では現在も人口は増加していますが、特に八千代台を始めとする京成沿線については、高度成長期に人口が爆発的に増えたため、高齢化が進んでいます。そんな中、当時の八千代市都市計画課の職員が、地元自治会からの要望で「地方創生加速化交付金」を使ったまちづくりのスタートをするために、マネジャーとして外部の人材を探していて、その候補の一人が僕だったのです。
 そして、2016年6月に「八千代台まちづくりプロジェクト」という任意団体が立ち上がります。僕は、その団体と契約し、このプロジェクトのマネージメントをすることになりました。(2017年度からは、八千代台を中心とした京成沿線のまちづくりをサポートする「八千代市まちづくりマネージャー」業務を八千代市より受託。)
 このプロジェクトには複数の部会があり、中でも自治会の方々が集まった「住民部会」では、当初は「こういう公共施設を造って欲しい」「このビルを取り壊して複合施設を造ったらどうか」といったハード重視の意見が多く見られました。しかし、ハードをやることも大事ですが、ソフトの部分をやっていかないとこれからのまちづくりはうまく行きませんよね。
 一方、商業者を中心とした「商業部会」には、商店会長など重鎮の他にも若い商業者も参加し、彼らを軸に、同じような考え方を共有できるような若い人たちが徐々に集まってきました。実際に動くところを作ってから考えよう、エイヤーという感じ。そういうことを理解し、サポートしてくれる行政職員がいたことも助けになりました。僕はそうしたネットワークを作って、官と民の間で立ち回る立場というわけです。

 *「八千代台まちづくりプロジェクト」とは
 国のまち・ひと・しごと創生総合戦略に基づく、「八千代市版総合戦略」において、II「魅力創出フロジェクト」に 位置付けられた「京成沿線の活性化」のために、「八千代台地域活性化人づくりまちづくり事業」として地方創生加速化交付金の交付を受け、2016年6月に設置された、官民連携によるまちづくりを行う、地域住民主体の組織です。

 

関連リンク

株式会社全国商店街支援センター
八千代台まちづくり合同会社
「地域密着型のよそ者」タウンマネージャーの新しいかたち(後編)



登録日 2019年3月15日(金曜)00:00

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