コラム・事例紹介

「古いからこそ面白い」築100年を目指すビンテージビルの取り組み(前編)
株式会社スペースRデザイン 吉原 勝己さん

吉原 勝己

吉原勝己(よしはら かつみ)
1961年福岡市生まれ。九州大学理学部卒業後、旭化成で医療事業の研究に従事。2000年家業の吉原住宅を引き継ぎ、賃貸リノベーション事業に乗り出す。2008年、株式会社スペースRデザイン設立。九州大学大学院人間環境学府、九州産業大学非常勤講師。NPO法人福岡ビルストック研究会理事長。福岡県中小企業家同友会ソーシャルビジネス委員会まちづくりビジネス本部長。

吉原さんの取組は、「古いビルを引き継いだこと」が原点とお伺いしています。

 父が創業した吉原住宅有限会社は、築60年の冷泉荘、50年の山王マンション、40年の新高砂マンションという3つの賃貸マンションと、築41年の天神パークビルというオフィスビルを管理運営している家族経営の会社です。
 家業を継ぐ切っ掛けは、父に病気が見つかったことでした。小さい頃から父の仕事先に連れていかれ、ペンキ塗りの手伝いをした記憶はありますが、残念ながら事業に魅力を感じたことはありませんでしたし、それまで全く違う業種にいたため仕事のイメージすら湧きませんでした。
 ただ、6人兄弟の中で自分が継ぐことになってしまった以上、親孝行をすることにしました。誰かが継がなければ廃業になってしまう、両親が一所懸命やっていた仕事が消えてしまうのは嫌だと思い、これも運命だと家業に入ることにしました。それが2000年、40歳の時です。

 もちろん、所有物件がボロボロなのは知っていました。とにかく古いビルなので、新規の入居者は入らないし、入居者がいても滞納に悩まされる状態です。設備の面でも老朽化の問題を抱えていましたし、そればかりか反社会勢力やホームレスの根城になってしまっていたりと、古い建物ならではの不利益は一通り体験しました。
 おまけに、大規模な改修にはこれまでほとんど手がつけておらず、設備の更新をするために追加投資をしようにも、父と意見が対立していました。
 このままではビルを維持できない、この状況を打開するには建て替え以外にはないと考えることもありましたが、直近までサラリーマンだった感覚から、自分の所有する建物に何億円もかけて建て替えるという発想はできませんでした。
 なにより父がこの建物を一所懸命守ってきたことはわかっていました。建て替えるという選択をしてしまうと、自分が家業を継いだ意味がないと思ったのです。
 そんな時、東京で古ビルを自由に使うデザイナーの話を聞く機会があり、自分のビルも建て替えずに再生できる可能性があると感じました。ただ、当時はリノベーション自体が一般的ではなく、ビル一棟を再生するにはまだまだ情報が不足していました。ならば、一部屋ごとのリノベーションは身近にやっていける分野ではないかと・・。福岡市は新築建物の容積率が下がる傾向にあったため、建て替えるよりもリノベーションで維持する方が経営的にも良いのではないかと思いました。

山王マンション

2003年に手掛けた「山王マンション」、全てはここから始まった

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関連リンク

株式会社スペースRデザイン
吉原住宅有限会社
NPO法人福岡ビルストック研究会
「古いからこそ面白い」築100年を目指すビンテージビルの取り組み(後編)

登録日 2019年3月22日(金曜)00:00

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