コラム・事例紹介

「古いからこそ面白い」築100年を目指すビンテージビルの取り組み(前編)
株式会社スペースRデザイン 吉原 勝己さん

「新しいビジネスモデルを作る」ことに着手されたのですね。

 まず、2003年に山王マンションのリノベーションに着手しました。山王マンションは3DKと2DKの二つの間取りがある全45室のビルで、部屋は和式トイレに浴槽はバランス釜、さらにバルコニーがないので廊下に洗濯物を干している…そんな古びた賃貸マンションです。
 山王マンションでは、リノベーションについて調べてきた課題を一部屋ずつ実験してみようと考えました。言わば、ミニマルサイズでの試験管実験のようなものです。

 賃貸物件としては、国内でもかなり初期のリノベーションプロジェクトであり、素人でいきなりデザインに係るほどのノウハウはまだ無かった頃でしたので、業者に丸投げして部屋を作ってもらいました。素晴らしいデザインでしたし、投資額も300万円ほど掛けていたので、計算上月額7万円以上が適正家賃と思っていました。
 ところが、いざ不動産仲介業者に問い合わせると、5万円程度が適正だと言われてしまったのです。家賃を決める大きな要素は、部屋の広さと築年数だったのです。これではいくらリノベーションをしても、施工前と同じ賃料のままです。そこに不動産業界の価格設定の古さと、逆に自分たちがイニシアチブを取れるかもしれないという可能性を感じました。ブルーオーシャン(*)が広がっていると感じたんです。
 今回は不動産仲介業者を挟まなくても、自分たちのツテだけで相当な反応がありました。新聞やテレビといったメディアがたくさん掲載してくれましたので、市場というものを確認することができました。
 ただ、一部屋に対して投資した300万円という額も高すぎたのかもしれません。適正な投資額の限界もわかったので、自社をリノベーションしていく会社として再構築することにしました。それに、自社物件を不動産仲介業者に任せっ放しにしていては、この業界の新しいモデルにはなれない。ならば自社で新しいビジネスモデルを作った方が早いのではないかと感じました。

 一室作ってしまえば、ある程度のことはわかります。そこからは簡単でした。工事費用の原価も理解できましたし、自ら不動産仲介業に乗り出したことで市場が見えるようにもなりました。要は、リノベーションという入口と不動産仲介業という出口を抑えたことで、作りたい放題に作れるフェーズに入ることが出来ました。
 ちょうどこの時期、2000年代前半は、福岡市内に投資型の賃貸マンションが次々に建ち始めた時期に当たります。マンションの多くは、ちょっと高価格体のデザイナーズ賃貸と、投資型・企画型の賃貸です。これに対して、我々は「レトロ、ビンテージ」という対極のブランディングで、競合相手との違いをわかりやすく伝えることが出来ました。

 *「ブルー・オーシャン」とは、競争相手のいない未開拓の市場のこと。

山王マンション(リノベーション後)

「山王マンション」は一部屋ごと様々なスタイルを見せる

1 2

関連リンク

株式会社スペースRデザイン
吉原住宅有限会社
NPO法人福岡ビルストック研究会
「古いからこそ面白い」築100年を目指すビンテージビルの取り組み(後編)

登録日 2019年3月22日(金曜)00:00

ログイン

新規会員登録はこちら

メールマガジン配信内容募集中

マチイベ!(街のイベント)募集

-中心市街地活性化-まちづくり-サイト内検索

-中心市街地活性化-まちづくり-もっと詳しく検索する

好きなまちで挑戦し続ける

街元気パンフレット

街元気サイトツイッター

街元気facebook

  • -中心市街地活性化-まちづくり-経済産業省
  • -中心市街地活性化-まちづくり-中小企業基盤整備機構
  • -中心市街地活性化-まちづくり-全国商店街支援センター
  • -中心市街地活性化-まちづくり-中心市街地活性化協議会 支援センター
  • -中心市街地活性化-まちづくり-J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト