コラム・事例紹介

【タウン誌事例集】「アレッ!新開地」(兵庫県神戸市)前編 〜〈まちのファン〉をつくるタウン誌〜

まちを意識していない人に、驚きと新鮮さを

長谷川さんの手になる表紙を開くと目に飛び込んでくるのは、2面と3面を見開きで使った「新開地旅行公社〜『B面の神戸』まちの現在進行形!変わる新開地の歩き方」という特集記事だ。

新開地旅行公社〜『B面の神戸』まちの現在進行形!変わる新開地の歩き方 新開地旅行公社〜『B面の神戸』まちの現在進行形!変わる新開地の歩き方
新開地旅行公社〜『B面の神戸』まちの現在進行形!変わる新開地の歩き方 新開地旅行公社〜『B面の神戸』まちの現在進行形!変わる新開地の歩き方
タブロイド判に近い大きな判型を見開きで使った特集記事(2面・3面)。マンガ風のコマ割りで写真をレイアウトするポップなデザインのページは、見ているだけで楽しくなる 誌面には〈ファン〉向けのより詳しいテキストも用意されており、ビギナー向けの敷居の低さと実用性、そして読み物としての面白さがそれぞれ両立するようになっている

「新開地旅行公社」とは、この企画のために立てられた架空の旅行会社。その乗務員として、バスガイドに扮したNPOの広報担当者・西島陽子さんが、毎回異なるゲストとともに新開地のまちの魅力を案内するというレギュラー企画で、38号では、少年時代を新開地で過ごした神戸在住の写真家・北畠健三さんとともに、路地横丁の隠れ家的名店を紹介している。

新開地には、「ツウな大人」が通うオーナーシェフの店が数多く存在する。しかしその魅力は、一方では「わかりにくく」「入りづらい」という障壁となってあらわれもする。そこで、こうしたまちのコンテンツの魅力やその楽しみ方を、新開地に馴染みあるゲストが紡ぎだす物語と、ポップなデザインのなかに落とし込むことで、わかりやすく伝えているのだ。

続く4面は、1枚の写真からまちの魅力を伝える「新開地八景」、5面は新開地でおすすめのグルメを「フライパンの使い方」や「かき氷器」といった道具の側面から紹介するイラスト記事「新開地の“うまい”をつくる秘密兵器」と企画ページが連なり、6・7・8面はイベント情報の告知や広告ページとなっている。

企画ページはいずれも、大きな判型を存分に活かし、写真やイラストをメインに、まちのことを知らない人がみても「まずは見てわかる」構成がとられている。

しかし、そこで伝えようとされている「まちの魅力」は、たとえば「値段の安さ」のような、「よくあるモノさし」で考えられたものではない。

一面に大きく写真を使った「新開地八景」(4面)とイラスト記事「新開地の“うまい”をつくる秘密兵器」(5面)
お豆腐屋さんの手仕事の一コマを紹介する「新開地八景」(32号より)。縦24センチ、横17センチを使った迫力ある写真はプロカメラマンの手になるもの。記事では、値段や味についての記載はないが、毎朝2時に起きて地元の市場から仕入れたものを使って、先代から50年以上にわたりお豆腐をつくり続けてきたなかでのエピソードが紹介される。「そのことを知って、マズい豆腐だとは誰も思わないでしょう」と古田さん

「広報PRというのは、一種の麻薬みたいなところがあります。テレビや新聞に出る、たくさんチラシを刷って撒く、それだけで何かやった気になって、自己満足に終わってしまうことが多い。一方的にまちの側が伝えたいことを伝えれば、内輪では『うちの店が載った』と喜ばれるかもしれないけれど、それはまさにまちづくり側の自己満足。

まちづくりの情報発信で大事なのは、『まちそのものに関心のなかった人たちに、興味を持ってもらえるか』です。それには、みんなが気づいていそうでいないところを掘り起こし、魅力的だと感じてもらえる価値を発見し、驚きや新鮮さを持ってもらえるように、それを伝えていくことです」

一見なにげない、地域のモノやコトにかけられている手間や工夫・歴史や物語など、「気づいていそうでいないまちの魅力」を知った時に生まれる驚き、そして新鮮さが、新たな〈まちのファン〉をつくりだす──それが、タイトルの「アレッ!」に込められた意味でもある。

「ひとつひとつのものを責任を持ってつくっていることがどんな業種でも大切で、それをちゃんとやっているところが、地域の魅力をつくりだしている。それをきちんと伝えていくことが、〈ファンづくり〉につながるんです」

まちが伝えたいことを一方的に伝えるのではない、「まちを意識していない人の目線」に立った情報発信が、新たな「新開地ファン」をつくっているのだ。



後編に続きます!
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目次
  (1)イントロダクション
  (2)ターゲットは「まちのビギナー」
  (3)表紙には、誰に何を伝えたいかがすべて出る
(4)まちを意識していない人に、驚きと新鮮さを

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まちづくりコラム「一言で言えば、『ファンづくり』」古田篤司
神戸市新開地地区 実践高度化研修・概要(平成22年度)
実践高度化研修レポート
神戸市新開地地区現地研修レポート(平成21年度)[PDF]

関連リンク

新開地ファン
  古田篤司の「実践!生・まちづくり日誌」(なままち日誌)
  日刊だいたい新開地

登録日 2011年8月22日(月曜)00:00

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