コラム・事例紹介

【タウン誌事例集】「南部再生」(兵庫県尼崎市)後編 〜まちづくりと地域情報誌づくり——二足のわらじが効果的〜

コンサルティングと冊子づくりの相乗効果

「南部再生」の持ち味のひとつは、考現学的な視点と切り口だ。まち歩きから生まれた「南部百景」や「フロ・ラボ」、生活密着型のたべもの紹介「フード風土」など魅力的な連載が目白押しだ。

それに客観的な都市のデータリサーチに基づく記事が加わることで、取材の解像度が高いことを印象づける。日本政策投資銀行の齊藤成人さんによる「ツクラナイマチヅクリ」、あまけんによる「マチノモノサシ」などがそれだ。

「ツクラナイマチヅクリ」は、新たな施設をつくるとどうなるかというアンチテーゼを示すことで地域資源を活用するまちづくりを示す連載だ。「六本木ヒルズ?(vol.18)」では尼崎ヒルズができるかどうかを検証する。結論は、床面積から尼崎ワーカーの3分の1が入居しないと空室がでること、投資額の回収を考えると賃料が現状水準の5倍になってしまうことを試算する。「景気さえよくなれば(中略)みなさん必ず入居してくれるはず……って、はよつっこまんかい」と締めくくる。

「ツクラナイマチヅクリ」 尼崎にまつわる「数」を掘り下げ、まちを考える「マチノモノサシ」
「ツクラナイマチヅクリ」誌面。六本木ヒルズが尼崎で成立するかを検証 尼崎にまつわる「数」を掘り下げ、まちを考える「マチノモノサシ」

同連載筆者の転勤などで休載していたが、vol.37から続編がスタート。排気ガス問題解決のために市民悲願の国道43号線の地下化を米国ボストンの事例と比較した論考など、費用というモノサシで公共投資の価値を一刀両断する。

vol.22からvol.36まで連載した「マチノモノサシ」は「ツクラナイマチヅクリ」が休載の間、あまけんがさまざまな事象をリサーチした力作だ。初回の「1日でマイナス7人」は減少し続ける市の人口問題に目を向ける。それ以降「バッタの生息地10.7%増加(vol.30)」、「新規求職者数前年比3割増(vol.32)」「市バスの運賃収入10年で23%減(vol.35)」など社会問題に多角的視点から挑み、数値で現況を表現している。

「現状こんなんでしたというだけで……」と、調査結果に対して解決策まで記述する難しさを若狭さん、綱本さんは振り返る。そのいっぽう「コンサルタントと編集の二足のわらじは予期していなかったけれども効果的」とも言う。「尼崎のまちに深く関わることで、ほかの地域がそれと比較してどうかという勘どころができる」のだそうだ。

まちの問題発見と解決のための視点が「南部再生」を通じて培われているようだ。それは同時に、他の地域で見聞したことが尼崎の南部にも情報として伝達されることにもつながる。まちづくりコンサルタントと地域の情報誌づくり……そこに職能の垣根はなさそうだ。

次項 データ
1 2 3 4
目次
  (1)編集はイロハのイから——市の広報課長さんに教えてもらった
  (2)信用金庫、郵便局、商店街、鉄道……多様な応援団の支え
(3)コンサルティングと冊子づくりの相乗効果
  (4)データ

関連リンク

あまけん
南部再生 バックナンバー一覧

登録日 2011年11月25日(金曜)00:00

ログイン

新規会員登録はこちら

メールマガジン配信内容募集中

マチイベ!(街のイベント)募集

-中心市街地活性化-まちづくり-サイト内検索

-中心市街地活性化-まちづくり-もっと詳しく検索する

好きなまちで挑戦し続ける

街元気パンフレット

街元気サイトツイッター

街元気facebook

  • -中心市街地活性化-まちづくり-経済産業省
  • -中心市街地活性化-まちづくり-中小企業基盤整備機構
  • -中心市街地活性化-まちづくり-全国商店街支援センター
  • -中心市街地活性化-まちづくり-中心市街地活性化協議会 支援センター
  • -中心市街地活性化-まちづくり-J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト