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第4回 まちづくりオープン会議 若者による具体的なまちづくり活動のプロセスと効果を知る、 若者とまちづくり活動について考える(Part3)


Part3では、大学生時代にまちを舞台にした野外ライブ「yPod」の実行委員長を務め、現在はNPO吉原宿理事としてまちづくりに携わる小林紗依さんの進行で、Part1・2のご登壇者4名に加え、NPO代表の佐野荘一さん、同副代表の加藤富也さん、NPO法人クロスメディアしまだ・理事の兒玉絵美さんのほか、チャレンジショップに取り組む高校生の方々にもご登場いただき、若者とまちづくりの関わりについてパネルディスカッションを行いました。


パネルディスカッション

まちと若者の接点の持ち方

小林: NPO法人東海道・吉原宿は設立以来9年目を迎え、本当に多くの人がその活動に関わっている。

私自身は、大学時代からNPOを通して「フジヤマフェスタ」や「yPod」といった自分のやりたいイベントを実現し、卒業後に上京、全国の商店街について学んだ後、今春からNPOのスタッフになった。私の場合、「自分は若者だから」とか「まちと接点を持ちたい」という意識があったわけではなかったが、結果的にまちづくりに関わるようになった。

NPO法人東海道・吉原宿理事 小林紗依さん パネルディスカッションの様子
NPO法人東海道・吉原宿 理事 小林紗依さん(左)、パネルディスカッションの様子(右)

若園先生は吉商本舗の顧問、鈴木さんはクリエーターとしてまちづくり関わっている。本間さんは大学時代からNPOと接点を持ち卒業後アルバイトの期間を経て、山田さんは海外での就労やフリーペーパーの編集等の仕事をした後に、東海道・吉原宿のスタッフとなっている。

関わり方によって、まちづくりについての考え方も違ってくると思う。まず、若園先生から順に、まちづくりと若者との関わりについてどのように考えておられるかを伺いたい。

富士市立高校 教諭 若園耕平さん
富士市立高校 教諭 若園耕平さん

若園: 先ほども申しあげたように、商店街のために、あるいはまちのために何かやろうと思って「吉商本舗」を始めたわけではない。

自分の立場では意識をしてまちづくりをする必要はないと思っている。また、生徒たち自身は、「面白そうだから」と言って入部する生徒が多く、「まちづくり」ということは意識していない。

しかし、自分たちのお店にお客様に来てもらわなければいけない。売り上げも伸ばさなければいけない。商店街で活動する中で、意識するしないに関わらず、自然にまちづくりに参加しているという状態だ。

チャレンジショップに取り組む富士市立高校の学生
当日はチャレンジショップに取り組む
富士市立高校の学生の各学年のリーダーも登場
自己紹介と一言ずつコメントをいただいた

私自身もNPOの会員ではあるが、逆にNPOの人たちが吉商本舗の部員になってもらっていると感じることもある。自分たちができないことをNPOにやってもらっている、という意識がある。それが結果的にまちづくりにプラスになっていればいい、という捉え方。まちづくりをしている、ということは生徒に言っていないし、商品開発をすることで活性化している、というようにも思っていない。自分たちがやりたいことをやっていると思う。

昔は「学校の帰りに商店街に寄る」という行動パターンがあったが、現在の商店街には高校生が寄れるような場所は少ない。生徒たちが商店街を訪れるのは地域のお祭りのようなイベントに限られるだろう。

しかし、吉商本舗に参加している生徒たちは意識するしないに関わらず、お店をやっている以上、毎日商店街に来ることになる。それが結果として、商店街との接点を生み、商店街のことを考えるようになった。活性化を目的として意識しなくても、NPOの活動に自然に参加することになっていった。

チャンスの場を提供すれば、若い人は集まってくる

鈴木: 自分は昔も今もまちづくりに興味はない。むしろ「まちづくり」と聞くと、「まちをよくしてやる」という上からの姿勢を感じ、あまりいいイメージはなかった。本来、魅力的なお店、行きたいお店があるからまちは賑わうのであって、自然とそうした賑わいが生まれることが本当の「まちづくり」だと思っている。

それではなぜ自分がそこに関わっているのかといえば、ビジネスとしてだと思う。当時、会社で仕事をしているだけでは幅が広がらず、デザイナーとして成長するにはいろんな仕事をしないといけないという危機感があった。

そういう意味で、この場所は自分にとって利用できると思った。富士市内にも大型のショッピングセンターがあり、そこではイベントもあり、当然買い物もできるが、自分にチャンスをくれるということはないと思う。一介のサラリーマン・デザイナーに過ぎない自分にチャンスをくれたのが、この商店街であり、NPOだった。

チャンスを欲しがっている若者は沢山いる。彼らの利益につながるチャンスを与えれば、頼まなくても集まってくるのではないか。

山田: センターとしてはまさにそうしたチャンスの場を提供していきたいと考えている。「何かをやりたい」という思いを持った方と、一緒にやり方を考えながら巻き込んでいる、というところはある。

「吉原バル」「YWGP」実行委員長/静岡県はしご酒ネットワーク初代会長 本間明日美さん
「吉原バル」「YWGP」実行委員長
静岡県はしご酒ネットワーク初代会長
本間明日美さん

本間: 私自身が「若者」に分類されると思うが、自分がやってみたいと思ったことをやらせてもらえる舞台として、吉原の商店街と関わっていると思う。

当初、「まちづくりをやりたい」という思いはなく、「面白そうなことがあるから行ってみよう」というのがスタートだった。実際に面白かったので、巻き込まれることになっていった。

吉原バルにも学生をはじめ多くの若者がスタッフとして関わってくれているが、彼らは特にまちづくりに興味があるわけではない。面白いイベントだから、あるいは私や小林さんから「手伝って欲しい」と言われて、来てくれているように思う。それが、結果としてまちづくりにつながっている。

敷居の低い、居心地のいい場所を用意することが、若者をまちづくり巻き込んでいく?

小林: NPO法人東海道・吉原宿では、まちと若者との接点を固く考えて、「まちづくりをやりたい人、集まれ」と呼びかけるのではなく、「ここなら何かできる」と思わせる環境を用意できたことが、結果としてまちを賑やかにする取り組みにつながっていったということだと思う。

私自身も「気づいたら巻き込まれていた」という立場だが、巻き込み方として、どのようなことが重要だと考えられるだろうか。

ユウイチロウデザイン代表 鈴木雄一郎さん
ユウイチロウデザイン
代表 鈴木雄一郎さん

鈴木: 敷居を低くして誰でも入れるようにしておく必要はあるだろう。東海道・吉原宿では、「無理強いしない」「上から命令しない」、その代わり「去る者も追わない」ということが実践されていたから、自分はやりたいことができたと思っている。

カフェをやった当時、反対する方もいたと後から聞いたことがある。もしそうした声を直接聞いていたら、関わりづらいと感じ、徐々に距離ができるようになったかもしれない。佐野さんや加藤さんがそれを守ってくれていた。そのせいで、居心地のいい場所だと感じ、自分のやりたいことができたのだと思う。

繰り返しになるが、やりたい人が好きなことをやれる環境をつくれば、若者に限らず、何かやりたい人が集まってくるはずだ。

振興組合とNPOの違い

小林: 若い人たちが自分のやりたいことをやれるよう、フォローしていく環境をつくっていくことが大事だということだと思う。

当初から若い人を巻き込もうという意図があったのか、NPOの代表である佐野さんと、副代表である加藤さんに伺いたい。

NPO法人東海道・吉原宿 代表 佐野荘一さん
NPO法人東海道・吉原宿
代表 佐野荘一さん

佐野: 振興組合のような商店街組織の特徴として、良くも悪くも、外部の人が入りにくいシステムになっているということはあるだろう。NPOはその点、外部の人がアクセスしやすいかたちになっている。

外部の人が入ってきてくれたおかげで、「こんなことができるんだ」と気づかされたことが数多くある。シルクスクリーンでプリントしたTシャツが部屋を埋め尽くすようなことは、商店街の発想では絶対に起こらない。自分たちだけでやっていても限界がある、ということに強く気づかされ、なるべくいろんな人に関わって欲しいと思った。

鈴木: 600枚ものTシャツをつくれるような広い場所はなかなかない。商店街のおじさんがそういう場所を無料で貸してくれたから、実現できたことだった。

佐野: たとえば、みんなでTシャツをつくっているうちに、「次はこんなことをやろう!」という話が出てくる。飲み会で決めて、動いてみたらダメだった、という企画倒れも沢山あるが、まずは動いてみることから始まる。

NPO法人東海道・吉原宿 副代表 加藤富也さん
NPO法人東海道・吉原宿
副代表 加藤富也さん

加藤: 私はこの商店街で長くやっていく商店主の立場。そういう地元の人間と、外部からいろんな方が関わることで、新しいことが生まれていった。

NPOを立ち上げた当初はこんなにいろんな人が関わる場になるとは想像していなかったが、振興組合だけではできなかったことが沢山あると思う。NPOができたことをきっかけに、吉原というまちに興味を持ってくれた人、あるいはそこにいる人に興味を持ってくれた人、野望を持った人、熱い気持ちを持った先生など、気持ちのある人が、年齢に関係なく集まってくれた。去って行く人も当然いたが、それも自然なことだと思う。

鈴木: 誰でも受け入れるから、出入りは激しいと言えば激しいだろう。私の場合、会社と家庭の往復では出会えないような人に出会えた。東海道・吉原宿の関係者は「本音」でしか話さない。だから自分も年齢や上下関係なく言いたいことが言える。このことが自分にとって居心地がいいと感じる理由だと思う。こういうことは一般の社会ではなかなかない。

まちづくりが若者にとって魅力的な雇用の場になるために

NPO法人東海道・吉原宿 理事 小林紗依さん
NPO法人東海道・吉原宿
理事 小林紗依さん

小林: NPO法人東海道・吉原宿では、静岡県のタウンマネージャー育成事業を受託しており、私は同事業において吉原宿担当のタウンマネージャーとして育成されるかたちで雇用されている。しかし、雇用されている人はごくわずかで、ボランティアスタッフのメンバーが多いのが実情だ。

本間: 私は当初、アルバイトスタッフとして事業に携わっていた。その頃から「もうひとつ別の仕事をかけもちしながらでも関わっていきたい」と思っていた。ここに関わっていれば面白いことがある、というのが魅力だった。

富士市民活動センターコミュニティf センター長 山田有希さん
富士市民活動センターコミュニティf
センター長 山田有希さん

山田: センターは市から「これで運営してください」という予算で運営しているが、その人件費だと、スタッフの賃金はかなり安い金額になっている。市には私たちのこれまでの実績を認めていただき、次の5年間は、人件費を少し上乗せしていただき、指定管理料をアップしていただいた。

ただし、スタッフは女性が多く、家族を養う男性では厳しい金額だ。男性も関わることのできる給与体制がとれるといい。

小林: 「私はこういうことをやりたい」と言ってまちづくりに一生懸命汗をかく若者がいた時、なんとか生活できるくらいの給与を出せることが大事になってくるのだろう。

私と同じく、静岡県のタウンマネージャー育成事業を通して、島田市のタウンマネージャーとして育成されている兒玉絵美さんのお話を伺いたい。

NPO法人クロスメディアしまだ 理事 兒玉絵美さん
NPO法人クロスメディアしまだ
理事 兒玉絵美さん

兒玉: 私は大学を卒業してから12年間、地元の商工会の職員として、観光振興、商業振興、地域振興ということで、広い意味で言ったら「まちづくり」と言われる活動をしていた。

商工会のような場所では、何かを始めるには、まず協議会や委員会をつくる必要があり、メンバーはいわゆる「充て職」になることが多かった。その結果、着地点は当初自分が思っていたのとはまったく違うところに行ってしまい、不完全燃焼に陥ることも少なくなかった。

「私のやりたいことはこういうことではないのではないか」と3年間くらい悩んだ。その頃、地元にまちづくり系のNPOが発足し、その理事になった。商工会の職員としてNPOの理事になることは県内でも初めてだったが、特産品のお取り寄せサイトをつくり、そういうかたちでまちづくりに関わるようになった。

商工会時代にNPOの理事をやって一番強く感じたことは「こんなに自由にやっていいのか?」ということだった。その頃、佐野さんにもお会いしたが、うるさいことを言わないし、若い人の意見を取り入れてくれることにカルチャーショックを受けた。

私個人としては、「まちづくりをやりたい」というよりも、「こんなイベントをやりたい」「こんな事業がやりたい」という思いが強い。やりたいことをやった結果、まちの課題解決になることがベストだと思っている。それを受け入れてくれる場所として、東海道・吉原宿を選びたいと思った。そして、タウンマネージャー育成事業に声をかけてもらった。

現在は「商店街を旅するように魅力を発見しよう」というマップの作成や発行、サイトの運営、婚活のイベントやバルといった活動を行っている。

マップの発行や、テレビの取材を受けたことも好評をいただき、お店の方、地元の方にも喜んでいただいているが、「まちづくり」が、雇用として受け入れられるにはまだまだ難しいところがあると思う。

今は過渡期だと思う。タウンマネージャーも県の予算による育成段階だから、私たちがきっちりと結果を出すことが、これからの雇用につながっていくのではないかと思っている。

質疑応答

小林: 最後に、会場から登壇者への質問を受け付けたい。

質疑応答1:高校生の商品開発のあり方について

質問: 若園先生にお伺いしたい。吉商本舗の商品開発は、具体的には生徒さんからの発案で出されるのか、それとも企業さんからの提案なのか。

若園: 全国的に、商業高校では商品開発は行われている。自分たちは、吉商本舗のやっている出張販売等に、誇りを持っている。いわゆる商業高校だったらどこでもやる商品開発はやらないくらいのつもりでいた。

ところが、吉商本舗がいろんな方に知られるようになり、ある病院へ出張販売に行っているうちに、その社長さんから「地元のお茶を使った商品を考えてみないか」と言われ、そこで初めて商品開発をすることになったのが「よっぷ」というお茶を使った飴だった。それがマラウィ紅茶味の飴、ブルーベリー味の飴とつながり、これは面白いと思った。

「ぽん津」は企業さんから、「中学生が考えたんだけど商品にしてみないか」と話があり、「じゃあカレー屋さんを紹介する」とどんどん話が広がっていった。

高校生は3年で終わる。だとしたら「自分たちはこれをやった」というのがあると面白いな、と思い、以後商品開発を継続するようになった。

吉商本舗をやっていくうえで、自分たちができないことをNPO吉原宿にやってもらっている、という意識がある。それが結果的にまちづくりにプラスになっていればいい、という捉え方をしている。まちづくりをしている、ということは生徒に言っていないし、商品開発をすることで活性化している、というようにも思っていない。自分たちがやりたいことをやっていると思う。

質疑応答2:若者が仕掛けるまちづくりへのまちの反応

質問: 若者が商店街に受け入れられるという時、企画を実現した後、まちの方の反応は、どんなかたちで変化していくものなのか。

本間: YWGPやバルで、初めて商店街のお店ごと参加できるイベントを始めた。お店の方も、どうやってお店のPRをしていくかを悩んでおられることがあるので、そういうところのお手伝いをしている部分もあるので、受け入れてくださる方が多い。まちのために若い人ががんばっていることを前向きに受け止め、協力的なところが多い。

小林:NPOと振興組合では、折り合いの難しいこともあるが、若い人が行くと受け入れてもらえたりすることもある。「また勝手なことをやってるのか」という反応もあるが、バルが行われたりして他地域の方などから「がんばっているんですね」と評価されると、認めざるを得ないところがあると思う。

振興組合や商工会、市役所、NPO等いろいろな組織団体があるが、お客様から見たら1つのまちでしかない。NPOがやっているバル、商店街のやっているご当地グルメ、という見え方はしない。あくまで吉原のバルであり、吉原のご当地グルメ、ということになる。

グループのミッションはそれぞれあるので1つにまとめることは難しいと思うが、今後、タウンマネージャーとして、吉原というまちのブランディングが必要だと思っている。こんなこともあるしあんなこともあるけど、いろいろあっていいよね、という方向に持っていきたい。

登録日 2013年2月18日(月曜)00:00

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