研修・セミナー

第5回 まちづくりオープン会議 リーダーが進める人づくりとコトおこし~担い手の巻き込みと次世代リーダーの育成~(Part2)

2013年2月2日に東京で公開収録が行われた第5回まちづくりオープン会議では、石原武政先生のコーディネートで、各地でまちづくりの先頭に立つリーダー6名の方を登壇者に、4名の方をコメンテーターに迎え、「リーダーが進める人づくりとコトおこし~担い手の巻き込みと次世代リーダーの育成~」をテーマに6名の方の取組紹介をもとにディスカッションを行いました。その模様を4部構成でお届けします。

Part1 組織内の人材育成
Part2 地域内人材の発掘・巻き込み
Part3 外部支援者としての発掘・指導
Part4 コメンテーターとのディスカッション

地域内人材の発掘・巻き込み

映像(チャプター2)を見る

石原 地域の中で、いろんな方々と連携しながらネットワークを広げていくことが必要になるという観点から、「地域内人材の発掘・巻き込み」というテーマに移りたい。佐世保市商店街連合会の竹本さんと米子市中心市街地活性化協議会の杉谷さんのお話を伺った後で、議論を進めたい。

「朝会議」をはじめとした地域内外の市民の活躍の舞台づくり
(長崎県佐世保市・佐世保市商店街連合会 会長・竹本慶三さん)

竹本慶三さん
竹本慶三さん

竹本 佐世保の人口は現在26万人、山あり海ありの狭いところに市街地が展開している天然がつくったコンパクト・シティ。そのため殿様商売ができるまちだったが、大型店が出てくる危機感から様々な取り組みがスタートした。郊外の大型店に対抗するといっても売り出しセールをしても勝てるわけがないことから、我々が得意な分野であるイベントを様々に仕掛けてきた。

その一つが17年続いている「きらきらフェスティバルinSASEBO」。11月の中旬から12月末まで約一月半、まちなかにイルミネーションを施して毎週土曜日・日曜日になんらかのイベントをやる。結婚式をやったり、雪を降らせてみたり、サンタクロースがまちなかを歩いたり、幅11メートル・長さ1キロの直線のアーケード全域で5千人が参加するパーティをやったりしている。

このイベントを仕掛けた当初は会議をやるにも昼や夜は時間がなかった。そこで「朝7時にホテルに1000円持って集まろう!」ということになり、ホテルの朝食バイキングを食べながら行う朝会議が始まった。

きらきらフェスティバルinSASEBO(左)と朝会議(右)
きらきらフェスティバルinSASEBO(左)と朝会議(右)

この会議では「できない」は禁句にして、「どうしたらできるか」を考える会議にした。知らないことがあれば、商店街という枠にとらわれずに知っている人を呼んでくればいいという発想で、イルミネーションのことがわからなければ電気工事屋さんを呼び、広報が足りなければ新聞の記者さんを呼び、許認可が足りなければ役所の方を呼ぶといったように、臆することなくいろんな人が集まる会議にした。そうやって自分たちで会議をつくることで、決定権はなくとも面白いアイディアが生まれる場をつくってきた。

きらきらフェスティバルが1回目から1900万円の事業になったのは、こうした会議のつくり方が大きかったと思う。

自分たちだけでやろうとするのではなく、できる人、やりたい人を巻き込んでいこうということで進めたところ、若い人たちが「竹本さん、朝会議がおもしろかったからまたやりましょうよ」と集まってきた。

そこで、まちづくりに必要な、若者・ばか者・よそ者、を集めた「夢会議」を始めた。若者の情熱、ばか者の一途さ、よそ者のアイディアが集まる場になっていった。きらきらフェスティバルが始まった翌年には、「YOSAKOIソーラン祭り」のビデオを見て感動したことから、北海道まで行って、その祭りを佐世保の秋祭りに持ってきた。

その年は2チームで秋祭りに参加、翌年から「YOSAKOIさせぼ祭り」として正式スタートし、商工会議所の会場を借りて6チームが参加、5周年には103チームになり、15回目を数える今年は171チーム、7000名の踊り子が参加、市内14会場を使う経済効果20億円というお祭りになった。

こうしたことの根本に、朝会議を継続していることがある。若者・ばか者・よそ者が集う朝会議が、よさこいの幹事会、スタッフ会議へと発展していった。幹事会は10人~15人、スタッフ会議は30人ぐらいが集る。商店街の会議から始まったことが、15年を経て一般市民を巻き込んだ会議になっている。

よさこいは商店街がやっているわけではなく、実行委員会方式で、市から1000万円、県から500万円をお預かりし、合計して約3000万円の事業を15年続けている。

重視しているのは市民参加型ということ。たとえばきらきらフェスティバルでは、「あなたの1000円でイルミネーションが2個つきます、どうぞ市民応援団になってください」という形で参加者を集め、参加者にはバッジを配る。これは単にイルミネーションをつけることが目的ではなく、「自分もこの祭りに参加している」という思いをつくることを大切にしている

よさこいが素晴らしいかたちで発展していることの象徴的な例として、踊り子さんたちとスタッフが毎月1回、100人~200人集まって、会場であるまちを掃除してくれている。本番直前は800人ぐらいが朝7時から掃除をしてくださる。

踊りだけでなく、月1回でもみんなに会うのが楽しみ、ということで自主的に集まる人たちが増えてきた。こうした動きがまちへの愛着につながっていると思う。

まちづくり会社の立ち上げ支援と事業を通じた担い手の発掘・育成
(鳥取県米子市・オフィスコモンズ代表/米子市中心市街地活性化協議会 タウンマネージャー・杉谷第士郎さん)

杉谷第士郎さん
杉谷第士郎さん

杉谷 米子市は現在、中心市街地活性化基本計画の4年目にかかっており、これまでに6つの商業系のまちづくり会社、2つの居住系の特定目的会社が設立され、最終年に入る今年は、福祉系で2つの事業会社設立のお手伝いしている。こういった会社をどうやってつくってきたかをご報告したい。

私はどこの地域にも人材はいると思っている。これは、どのまちにも「挑戦すべき人」と「挑戦せざるを得ない人」がいる、ということだ。この傾向は地方都市のほうが強いと思う。

「挑戦すべき」人とは若い方のこと。これから30年ぐらいお仕事をされるのだったら、失敗は失敗にならないので、挑戦しないほうがおかしい。一方で老朽化したアーケードを抱え、空き店舗問題が大変だという商店街は「挑戦せざるを得ない」状況にある。

そうした方々に、どうやってまちづくりの担い手として関わっていただくかというと、「会社を立ち上げることで、事業として、いま抱えている問題を解決しませんか」という話をしている。「人材発掘」「担い手育成」というよりも、「事業」というフィルターを通すことによって、結果として担い手になっていただく、というアプローチになっていると思う。

30代で、残り30年の時間を持っている方にとっては、この事業はまさしく人生のこと。他方、あと10年しかない、あるいは5年しかないという方であれば、どういうふうに自分の人生を着地させていくか、ということを通して事業を考えていただく。その中で「事業というのは、あなたの人生のことなんじゃないですか」というお話しもする。その結果として会社をつくっていただいている。

杉田真理子さん(左側)と、住田済三郎さん(右側)
米子で複合商業施設スカイビルを運営するため株式会社SKYを設立した杉田真理子さん(左側)と、地域交流センター・笑い庵を運営するため株式会社笑い庵を立ち上げた住田済三郎さん(右側)

その際にはとことんまでリスクを見極め、身の丈にあった事業計画を立て、そこに国・自治体からの補助金をいただくことで、概ねリスクがヘッジされたという構えをつくってから事業をスタートさせる。

また、会社というのは言ってみればひとつの「船」。一人で船長も機関長もやるのは大変なので、一緒に話ができる人と3人から4人で共同出資会社をつくっていただくようにしている。結果として、その会社から新しい事業の芽が出てくるようになる。

こうしたことから、米子の取り組みを報告する際には、「人」の紹介をすることになる。残り30年の時間を持っている「挑戦すべき人」はどういうことをされたらいいか。アーケードと空き店舗を抱えている「挑戦せざるを得ない人」は、どういう共同出資会社をつくったらいいか。70代でこれまでまちづくりに携わり、新しい人にバトンタッチしたいという人は、どういうまちづくり会社をつくるべきか。

生意気な表現だが、事業を通じてそれぞれの方に幸せになっていただくことが、タウンマネージャー冥利に尽きると思っている。

若い世代との連携について(加藤→竹本)

加藤博さん
青森市新町商店街振興組合
副理事長・加藤博さん

加藤 佐世保ではいろんな方と連携して様々なイベントをやっているようだが、大学生や高校生といった若者とはどういう形で連携しているのか。

竹本 大学生については、長崎県立大学と長崎国際大学に加えて九州大学の学生にもコラボレーションしてもらい、私ども商店街と商工会議所の観光部会、それから銀行のシンクタンク、コンベンション協会がPTAとなって、学生たちに佐世保のまちの未来を考えてもらう「させぼ港まちづくりスタジオ」をつくってもらった。

そこで様々な議論をしていただき、「NAVY(海軍で育ったまち)」「赤レンガ(倉庫群)」「佐世保文化」「水辺(佐世保湾と佐世保川)」「路地裏」という5つのキーワードを出してもらった。

学生を通じたシンポジウムを5年続けて、たとえばコミュニティFMの番組をつくってもらったり、様々な形でまちに提案してもらっている。

高校生や中学生には、お店で販売体験をしてもらったりしている。また、若狭の小浜から修学旅行に来た高校生に小浜の特産品を持ってきてもらって販売体験をしてもらったこともある。よさこいに関しては、高校生だけのチームをつくることでまちに元気が出ていると思う。

よさこいをやっている人たちはノリがいい。商店街では「困った時のよさこい頼み」という感じで、人が足りない時は動員を手伝ってもらっている。そういうかたちで、商店街が子どもから大人まで市民参加の舞台となっている。

私たちはよく「街育」という話をする。まちが人を育て、人がまちを育てる。つくる人がいて、売る人がいて、運ぶ人がいて、買う人がいる、まちはすごく大切な社会教育の場所になっている。

その中でもコミュニケーションをとにかく大事にしようということから、コミュニティFMのスタジオもつくり、一店逸品運動もやっている。お客さんと我々がもっともっと話しをすることで、荒れたまちにはさせない、という思いがある。

朝会議への参加はどのように動機付けしているのか/イベントの予算はどのように確保しているのか(阿部→竹本)

阿部眞一さん
岩村田本町商店街振興組合
理事長・阿部眞一さん

阿部 竹本さんに、朝会議への参加を若い世代にどのように動機付けしているかということと、イベントの予算はどのように捻出されているのかを伺いたい。

竹本 17年も続けていれば、朝会議へのモチベーションが下がっていくのは仕方ないことだと思う。興味があって、楽しいから出てくるわけで、私自身は常に楽しみながらやろうと思っている。「あいつに会いたいから来るんだよ」くらいの感覚でやっていると、人が集まってくる。

加えて商店街の高齢化という問題はあるが、それ以上に「まちなかで何かをしたい」という方は沢山いらっしゃる。そうした方々に向けて「まちというステージを開放しますから、一緒にやりましょう」という形をつくっていければ、輪は広がっていくと思っている。

たとえば佐世保では、立ち飲みできる地元の酒屋に、単身赴任されている護衛艦の艦長といった方々が日頃から集まっておられる。そこに参加して一緒にお酒を飲んで仲良くなると、イベントの時にお手伝いしてくださったり、仲間を連れてきてくださったりする。そういう緩やかな付き合いから広がっていく部分が大きいのではないかと思う。

お金については「天下の回りもの」だと思っている。たとえば、企業協賛を集める時はほとんど義理人情の世界で、顔見知りの先輩のところに「このまま郊外に大型店が出てきたら、佐世保の顔である四ヶ町が駄目になってしまう。我々はがんばってやりますので、企業として応援団になってください」と企業応援団になってもらうよう、お願いをしてきた。

もう一つは先ほどもご紹介した市民応援団というかたち。1000円を出してイルミネーションに参加いただいたら、バッジを差し上げて、名前と住所を書いていただき、必ずお礼状を差し上げる。そういうことを続ける。市役所にも行って、補助金とは別に、市長からも個人の資格で出してもらう。そういうふうにできるだけ加わっていただく。お祭りは会社がやる、行政がやる、というだけでなく、市民一人ひとりも関わっているんだよ、という参加意識が大事だと思っている。

まちづくり会社の事業展開について(加藤→杉谷)

杉谷第士郎さん
杉谷第士郎さん

加藤 米子で杉谷さんがお手伝いをされたまちづくり会社では、一つの会社で一つの事業を行っているのか、それとも2つ、3つの事業を展開しているのか。

杉谷 その方や地域が抱えている問題を解決する手段として会社をつくったという経緯がある。具体的には、今までずっと賃貸で経営していたが自社物件を持ってテナントミックスをやりたいという方、アーケードを撤去して新しい商店街づくりをやりたいという方、寄り合い所のような場所だったところをはっきりと地域の交流センターにしたいんだ、という方。そういうことがきっかけになっているため、最初は1つの事業ということになる。

ただ、自社物件を持ってテナントリーシングをやることによって、新しい事業に入っていくという面もある。また、アーケードを外すことで商店街の枠が外れてエリアでものを考える必要が出てくる。そうした時に新たなテナントが入り、近くに居住される方が出てくると、まちなか居住のことも考え出すようになる。そういう中ですごく成長される方が出てくる。地域交流センターには、いろんなNPOや福祉系の人が入って来る。すると今度は、その人たちが持続可能な活動をしていくためにはどうしたらいいか、ということが結果としてまた新たな事業になっていく。

決してとんとん拍子にうまくいっているわけではなく、大変なことの連続だが、一つずつ乗り越えれば、また次のものが見えてくる。大変に尊敬している方からいただいた言葉で「期待なし、希望あり」というものがある。期待したら後悔するだけだから、期待はしない代わりに、その人に対する希望は捨ててはいけない、ということ。最近はずっと胸の中にこの言葉がある。

「挑戦すべき人」「挑戦せざるを得ない人」をどのようにその気にさせるか(石原→杉谷)

石原武政さん
流通科学大学商学部
特別教授・石原武政さん

石原 「挑戦せざるを得ない人」、「挑戦すべき人」がいるのはわかるが、現実はそうした人が逃げてしまっていることが問題を生んでいる。今までどれくらい声を掛け、どれくらいの反応が返ってきているのか。

杉谷 確かに、本当は挑戦せざるを得ないのに、「時間が解決してくれる」ということをおっしゃる方は沢山いる。それはそれで、自分の中で「札を置く」ということをするようにしている。実際に隣で事業が動き出した時、そういう方も「自分もできるんじゃないかな」と思われるケースがある。

SKY

たとえばまちづくり会社をつくり自社物件を取得してテナントリーシングをされた30代の女性は、既に10年以上商売をされていたが、組合にも入っていないし、まちづくりとも縁がない方だった。ただ、閉店する本屋さんのビルを活用したいという話のなかで、私と接点ができた。そのビルをリノベーションしてテナントリーシングをするという方向性が出た際、工事前にもかかわらず店頭に「中心市街地活性化の一貫としてこのお店をリノベーションしてテナントリーシングのビルにする」ということが書かれた看板を掲げた。 こうした旗をあげたことによって、ご本人にも「自分たちはまちづくりをやっていて、国からも支援をしてもらえる」ということを実感してもらうとともに、「商売を一所懸命やることが商店街の活性化なんだ」ということが周囲にも共有されていき、活性化の機運が高まっていった。すると、いままで興味がなかった組合の人も応援をしてくださるようになった。たとえばこうしたことで「置いておいた札がひっくりかえる」ことがあると思っている。

Part3に続きます

チャプター2

登録日 2013年3月29日(金曜)00:00

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