研修・セミナー

第5回 まちづくりオープン会議 リーダーが進める人づくりとコトおこし~担い手の巻き込みと次世代リーダーの育成~(Part3)

2013年2月2日に東京で公開収録が行われた第5回まちづくりオープン会議では、石原武政先生のコーディネートで、各地でまちづくりの先頭に立つリーダー6名の方を登壇者に、4名の方をコメンテーターに迎え、「リーダーが進める人づくりとコトおこし~担い手の巻き込みと次世代リーダーの育成~」をテーマに6名の方の取組紹介をもとにディスカッションを行いました。その模様を4部構成でお届けします。

Part1 組織内の人材育成
Part2 地域内人材の発掘・巻き込み
Part3 外部支援者としての発掘・指導
Part4 コメンテーターとのディスカッション

外部支援者としての担い手の発掘・指導

映像(チャプター3)を見る

石原 ご自身の地域で取り組まれたことをもとに、他の地域に行って取り組みの支援しておられる方の視点からの担い手育成について、マップづくりに取り組んでいる藤田さん、一店逸品運動に取り組んでいる加藤さんからお話しをいただきたい。

マップづくりを通じた各地での担い手の発掘
(千葉県柏市・まちとひと 感動のデザイン研究所 代表・藤田とし子さん)

藤田とし子さん
藤田とし子さん

藤田 私は10年ほど前に、千葉県柏市で市がつくった柏インフォメーションセンターという施設で、市民代表としてNPOの組織をつくり管理運営を受託し、柏のまちの魅力や情報の発信をした。その際、お客様が求めている情報と、お店の側、あるいはまちづくりを仕掛ける側が発信する情報に大きなミスマッチがあることに気がついた。ここにタッチポイントをつくると同時に、エリアの回遊性を高めてまちへの滞在時間を増やし、賑わいをつくりたいということから、「まち歩きマップ」をつくることを始めた。

このマップは、予算を計上してデザイナーと印刷屋さんにお願いするものではなく、わざと手間とヒマと時間をかけて、まちの調査を市民の方にやっていただいて、そこで発見したことを掲載した。TwitterやFacebookがまだ登場していなかった当時はこれがとても新鮮だったが、賑わいづくりや回遊性演出のためのマップづくりに取り組んでいるうちに気づいたことは、これはまちづくりの担い手育成のプログラムになっているということだった。

柏市の「ウラカシmap」と田辺市の「甘☆夏map2010」
柏市の「ウラカシmap」と田辺市の「甘☆夏map2010」

柏の後、和歌山県の田辺市に呼んでいただき、まちの魅力発見を発見する市民のボランティアチームの方々とまち歩きマップをつくることになった。当初は、「中心市街地は歩くところじゃない」「買いたいもの何もないのに、いまさらなぜ商店街のマップをつくるのか」という反応だった。これは住民として、あるいは消費者としての率直な感想だったと思う。そこをなんとか一緒にまち歩きをしていただいて、「まちのいいとこ探し」をしたところ、「こんないいところがあった」「こんな面白いことがあった」という報告が相次いだ。

スタート時は南紀みらい株式会社の設立に関わられた商工会議所の尾崎弘和さんがリーダーとなり、やがて次第に、まちでご商売をしている隊長と副隊長が先頭に立ってチームを引っ張り、ボランティアの市民を巻き込んでいくというかたちができていった。マップづくりをしていくプロセスで、まちなかに興味のなかった人たちが、まちの魅力を発見し、それを伝えて周りの人を巻き込んでいくスパイラルが生まれていった。立場が変わると視点も変わり、見える風景も変わる。そういう中で、まちの魅力を発見して、このまちをもっと良くしたいな、という人たちを増やしていく、というプログラムになっていった。

その後は長野県飯田市と岐阜県飛騨古川でもマップづくりをやらせていただいた。飯田では沢山の方に参加いただいたため、子育てママのグループと、独身女性のグループと、地元で創業しようという男性グループという、異なる視点を持ったグループによって3つのマップができた。飛騨古川では、商工会の女性部の物販店の人が飲食店を紹介するマップをつくった。

自分たちのまちの良いところを探していると、「もっとよくしたい」という思いがふつふつと沸いてくるので、そこから新たな担い手が生まれてくる、というプロセスになっている。

飯田市の3種類のマップ(左)と「多様な主体の参画とゆるやかな連携によるまちの活性化の図(右)
飯田市の3種類のマップ(左)と「多様な主体の参画とゆるやかな連携によるまちの活性化の図(右)

まちが花畑だとすると、瑞々しいお花を育てるには、耕す人、そして水をあげたり育てる役割の方が必要。もう一つ大事なのはミツバチで、これは実はお客様のこと。お客様が、あっちの花に飛んで行っては「いいね」「おいしいね」「こっちの花はこんな味だったよ」と言ってくれる。この市民の応援団をどうつくっていくかが、まちづくりの中で大事だと思っている。

一店逸品運動などを通じた各地での担い手の発掘
(青森県青森市・青森市新町商店街振興組合 副理事長・加藤博さん)

加藤博さん
加藤博さん

加藤 私は青森の新町商店街並びに中心市街地での取り組みをバックボーンとして、他地域での取り組みの支援、人材育成を行っている。特に一店逸品運動を通じた支援を行っているが、取り組みには最低でも5回から10回の研究会が必要だと言っている。1年、2年かかってもいいから、研究会を5回から10回重ねて、自分たちの思いやコンセプトを明確にしていくことを大事にしている。

青森で一店逸品運動を始めるにあたっては、いろんなアンケート、ニーズ調査を行った。そこでわかったのは、商業者・商店街のまちづくりの視点と、お客様・ユーザーが望んでいることに大きなギャップがあること。というのは、商店街の抱えている問題として、商店主は必ず「駐車場がない」「駐車場があっても有料」「イベントに人は来るが、売り上げは上がらない」という3つのことを言う。しかし、お客様にニーズ調査をすると、こうしたことは、4番目、5番目の問題。一番の問題は、「欲しいものが買えない」ということ。それから、「沈んだ気持ちになる」「いったんお店に入ったら、何か買わなきゃ出てこれない」がベスト3だった。これを打破していかなければ、どうにもならない。

当時は商店主同士が互いの店の品揃えやターゲット、売り場の見直しを話すことがタブーになっていた。そうしたことを言い合うことを事業にすることはできないかということで、一店逸品運動を事業として時間をかけてやった。

私は各地に呼ばれては研究会をやっているが、参加者の数は徐々に減っても、ずっと参加し続けている人が必ずいて、そうした人がお世話係になってくれる。その人たちに一店逸品運動の意義を徹底してお話しし、そのうえで「お店巡りツアー」というものをやるようにしている。

お店巡りツアーはお客様をお店に案内するツアーで、お店の人が自分が選んだ逸品を詳しく説明をするというものだが、その前にお世話係による「お店巡り模擬ツアー」をやっている。これは、お客様を呼ぶ前にまずは自分たち商店主同士で仲間の店を歩きましょうというもの。時間はかかるが、必ずこれが効いてくる。

栃木県大田原市の一店逸品カタログとお店回りツアーの様子
栃木県大田原市の一店逸品カタログとお店回りツアーの様子

一店逸品運動は2回目、3回目になると、カタログの中に必ずヒット商品が出てくる。ヒット商品を出したお店は語り部になってくれる。そこからリーダーを育てていく。一店逸品運動の他にも、私が経験・体験してきたことを共有し、事業を仕掛けていくことが、人材育成の部分で非常に大事なことになると思っている。

マップづくりの効果について(竹本→藤田)

竹本慶三さん
佐世保市商店街連合会
会長・竹本慶三さん

竹本 マップづくりはつい業者頼みになったり、デザイナーに任せたりしてしまいがちだが、佐世保でもおかみさん会を主体にして考えてみたいと思っている。市民参加型マップづくりの一番の成果は何か。

藤田 岐阜の飛騨古川では商工会の女性部の有志がやったが、有志で何かをやるという土壌がない地域だった。しかし熱心にまちの魅力を掘り起こしていけばいくほど、そうした思いが男衆も含めてまちに広がっていった。また、マップに掲載されることで、それまでは交流のなかった同業種の商店主同士に横のつながりもできていった。

大事にしているのはプレスリリースで、プロジェクトのスタートからの進捗を毎回記者さんにお届けしている。どの地域でも必ず新聞やラジオに取り上げていただいているので、調査した方がものすごく達成感を感じる。総経費6、7万円のプロジェクトだが、いろんな方に評価していただけることが、次のプロジェクトへのモチベーションにつながっている。

マップづくりはどれくらいの時間をかけて行っているか(吉井→藤田)

吉井茂人さん
長浜まちづくり株式会社
コーディネーター・吉井茂人さん

吉井 マップづくりについて、藤田さんが、「手間とヒマと時間をかけてやる」とおっしゃったが、長浜の人間はせっかちで、あまり時間を掛かけられないところがある。ひとつのマップをつくるのにどれくらいの時間をかけるのか。

藤田 基本的にボランティアの方がやるので、早いところで4カ月、だいたい半年くらいが目安だろう。

その間、月に一度の定例会と、担当エリアを決めた調査を行う。調査シートを埋めた後は、テーマを決め、そのテーマについての取材も行う。もちろん役割分担をして、デザインはもちろん、店舗情報のチェックといった細かい作業は担当を決めてやる。

ご商売の関係で参加が難しい方もいるのが、そうした方には「レクリエーション部」をつくってもらい、マップの完成時に打ち上げとレクリエーションを企画してもらうこともある。「やりたい」という人に少しでもいいから関ってもらう仕組みをつくることを大事にしている。

一店逸品運動はどれくらいのサイクルで行っているか(吉井→加藤)

吉井 一店逸品は、1サイクルがどれくらいの長さで続いていくのか。また、これまでにどんなヒット商品が生まれているのか。

加藤 私どもは1年を1サイクルとしてカタログをつくっている。お互いに覚悟を持っていろんなことを言い合うが、1年に1回、自分のお店の逸品を決めるのは自分自身。バーゲンセールではないので、即売り上げにはつながらないが、適正価格でものを売る習慣が身に付く。

逸品として脚光を浴びることで、ヒットするものが出てくる。あまりメジャーではなかった健康食品や小さなサイズの靴、またお菓子屋さんのような製造小売でもヒットが出やすい。

一店逸品運動で商品をよくしていくためのポイントについて(阿部→加藤)

阿部眞一さん
岩村田本町商店街振興組合
理事長・阿部眞一さん

阿部 全国各地で逸品会と称していろんな取り組みがなされる一方で、「なんでこんなものが逸品なのか」という反応もあると聞く。どんどん尻すぼみになっている逸品会も沢山あると思う。これは商店主同士が土足で互いの店に入り込んで「この商品が良い、悪い」という話ができない風土があるせいだと思う。その壁を超えて、お店回りツアーをやったり、商品を良くしていくところの違いはどんなことがあるのか。

加藤 準備段階の研究会で本音で話し合えるかどうかだと思う。だから、研究会という全体会議と、お世話係とのミーティングに一番力を入れている。お世話係の人が、自主的に研究会を開いて、みんなで話し合いをすることが大事。

また、必ず年に1回、展示会のようなものをやるようにしている。これは商店主同士で、互いの逸品を知るとともに、プレス発表の役割を持っている。プレス発表をすると後に引けなくなる。特にお世話係に任命されると、責任感を感じてやっていく。それが成長につながっている。

栃木県大田原市でのプレス発表の様子
栃木県大田原市でのプレス発表の様子

Part4に続きます

チャプター3

登録日 2013年3月29日(金曜)00:00

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