第26回 まちづくりコラム 「新たなまちづくりの模索」 杉谷 第士郎

杉谷 第士郎

杉谷 第士郎(すぎたに・だいしろう)

米子市中心市街地活性化協議会 タウンマネージャー
米子市出身。大手流通企業にて商品開発、経営企画、新規業態開発に従事後、イタリア・ミラノにて大型複合専門店の開発・経営を行ない、以降、多数の事業提携プロジェクトに携わる。2004年にUターン。(財)とっとりコンベンションビューローにて地域資源を活かしたオリジナルコンベンション企画に従事した後、米子コンベンションセンター館長を務める。2007年春よりまちづくりNPOの設立に参画。併せて広域観光推進による地域活性化を目的としたNPO、地域の支え合い福祉ネットワーク形成を目的としたNPOに参画。2007年12月より米子市中心市街地活性化協議会・タウンマネージャーを務め、協議会活動と中心市街地活性化基本計画の策定を推進し、そのコア事業となる“にぎわいトライアングル”における民間事業の掘り起こしと事業化の推進コーディネートを行った。オフィス・コモンズ代表、NPO法人まちなかこもんず理事、NPO法人地域福祉ネット理事。

元気のない中心商店街

少子高齢化ということは人口が減ってゆくことです。特に地方都市の場合、まちの中心部と、周辺農業地域にその傾向が強いようです。私がタウンマネージャーを務めている鳥取県米子市では中心市街地の高齢化率は26%と市平均より5ポイントも高く、中心商店街のあるアーケード沿いでは31%~38%といった高齢化率を示しています。だから元気が無いのかもしれません。これは2030年位の日本の高齢化率に匹敵するようです。とすると、地方都市の中心市街地の状況は日本の将来の姿を予見していることになります。
そんなことですから、過去10年間の米子市の中心商店街の衰退状況は大変なもので、空き店舗率は30~40%、通りによっては50%以上。しかも営業を続けている店舗の3/4は後継者が見込めないという有様です。結果、歩行者通行量は10年前の1/4にも落ち込んでいます。800メートル以上続くアーケードの端から端までが見通せてしまう状態なのです。東京から初めて米子に来た人が「アーケード通りを昼間歩いていて途中で怖くなって横道に外れた」などと真顔で言います(このヤロー!)。このままでは“シャッター通り”の次には“ゴーストタウン”になってしまうのでしょうか? 
しかし、あらためて米子市中心部の地図を眺めてみれば、中心商店街はJR米子駅から高島屋までの間に位置し、その間には文化センター、市役所、図書館・美術館・歴史館そして公会堂などの公共施設がきちんと配置されています。大学医学部と大学病院もすぐ近くにあります。歓楽街もあれば魚の泳ぐ川も流れています。こんな良い場所を“ゴーストタウン”にしてしまって良いものでしょうか? 良い訳はありません。

危機をチャンスに

とことん大変な状況に陥ってしまうと、新しい動きというものがでてくるものです。空き店舗が増えれば、それを活かした新しい商売を考える若い人たちがでてきています。アーケードに沿った川沿いに若い人たちの個性的な専門店が点在するようになりました。若さというものは商業立地というものについての未来のマーケット性を無意識の内に予見しているものです。一方、次の世代につけを残さないように老朽化が進んで安全性の問題も出ているアーケードを自分たちの世代の間に撤去してしまい、新しい商店街づくりに取り組もうという商店主達もでてきました。
“人”というものは会って話をしてみるものだと常に心に留めています。どんな人ともまず会って話を聞かせてもらうように心がけています。会って話を聞けば、その人の人柄ややる気も分かるものです。そしてこの人は“おもしろい!”、“やるな!”と感じたら、迷わず同じ船に乗り込みます。とことん応援します。一種の勝負事、気合です、決して逃げません! そうすると空き店舗の増加や老朽化したアーケードといった商店街の危機の中にチャンスが顔を覗かせてきます。チャンスとは“人”とその人が取り組む“事業”です。そして一つの事業が動きだすと、次の、そしてそのまた次の事業の可能性が見えてくるものです。カードが揃い始めるという感じです。
本来ならばきちんとした全体構想をまず策定し、順序を整えながら事業取り組みを進めることが正しいと思います。しかし、危機状態の中では、たとえ小さくとも今ある一つの可能性にしゃにむに取り組み、とにかく1点を突破し、それを連鎖させ、そして積み上げながら全体構想につなげるという手法もあるのではないかと考えています。“60点で良い、とにかく進め!”それも1年で20点を達成し、3年間で合計60点というのが、私の目標とする合格点です。

新たなまちづくりの模索

5年前に「まちづくり」という言葉を知りました。まだまだ勉強中なのですが、これ迄の「まちづくり」は公共施設の建設や道路工事などのハード面が中心であり、中心市街地のまちづくりは商店街振興のことといった考え方があったようです。しかし、これからの「まちづくり」の考え方はそうではなく、商店街の振興についても単に買い物をするだけでなく、多様な年代の人々が集い、文化・教育・芸術・スポーツなどの活動や福祉サービスも含めた、いわば将来の地域の問題を自ら解決してゆく取り組みのことを意味しているようです。これからの「まちづくり」には業種・業態を超えた“人”と“人”との繋がりがますます大切になります。
現在の地方都市の中心市街地の問題は20年先の日本の苦悩の姿を予見しているものかもしれません。今、その問題解決に取り組むことは、20年先の将来の苦悩解決の道に繋がるように思います。“バック・ツー・ザ・フューチャー!”です。その物語を綴ってゆく登場人物となる色々な“人々”とその“事業”に関わり、応援してゆくことができるということは、「本当にうまくゆくのだろうか?」という心配や不安が心の中を時折よぎるものの、タウンマネージャーとしての仕事冥利に尽きると思っています。
全国の地方都市の商店街で頑張っておられる皆さん! また中心市街地活性化協議会の皆さん! 皆さんは現在、地方都市の大変厳しい状況の中でご苦労をされていると思います。またあきらめの胸中になられた方もおられるのではないでしょうか。しかし、皆さんの、そして私たちが直面している問題解決は日本の将来の課題解決に繋がるという大きな意味を持っています。どの街にも必ず“人”がいるはずです。必ず“事業”の可能性があるはずです。人とは会ってみてください、そして話合ってみてください、必ずそこから「新たなまちづくりの模索」が始まることと思います。

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登録日 2009年9月25日(金曜)10:59

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