コラム・事例紹介

第43回 まちづくりコラム 「中心市街地活性化の意義・必要性と効果」 古川 康造

古川 康造

古川 康造(ふるかわ・こうぞう) 香川県 高松市

高松丸亀町商店街振興組合理事長
昭和32年香川県高松市丸亀町生まれ。立命館大学経営学部卒後、高松青年会議所理事長などを経て、少子高齢化社会に対応した新しい形の地方自治組織の創設に向け、中心市街地再生に精力的に取り組む。平成19年5月には、都市計画に独創的な業績を挙げた個人、団体に贈られる日本都市計画学会最高位の学会賞である石川賞を受賞。高松丸亀町まちづくり株式会社専務取締役、高松丸亀町壱番街株式会社取締役 等、公職多数。

その意義

中心市街地活性化の意義、その結論を先に申し上げると、地方分権を迎えるにあたって地方の自立を具現化するために避けては通れない「税収の確保」に尽きる。自治体は誰もが如何に税収を確保するかを考えてこなかった。自治体の収支にはバジェット(売上=収入の予算)はなかった。考える必要がなかった。中央集権の庇護の中で自治体は集めた税収の中から運営経費を差っ引いた残りを劣後として配分してきた。収入が足らなくなると不足分を国から補填してもらってきた。全ては過去の人口増、経済成長がそれを支えてきたということである。

ところがその大前提が崩れ去ってしまった。つまり、人口減、高齢化、経済マイナス成長という、有史以来日本人誰もが経験したことのない大地殻変動が起こっている。この、世の中の大前提が崩れ去ったなかでは、全ての世の中の仕組みが時代に合わなくなってきたということである。国は地方分権を進める中で中心市街地の活性化を図ろうとしてきた。都市の中心部にはほぼ例外なく、商店街と言う商業が自然発生的に集積したエリアがある。商店街の再生は、昔、隆盛を誇った街の商業のエリアが衰退するのは何となく寂しい・・・という情緒的な理由で再生を図らなければならないのではない。市況は大きく様変わりした。マーケティング調査によって、単に物を買う場所として消費者は明らかに郊外に立地する大型店を支持していることが解る。つまり消費者は郊外に立地する大型店で満足している。一般消費者の立場に立って考えると、商店街再生と言う事業は、本当に必要なのか?商業者の為だけの事業ではないのか?商店街が衰退しても消費者は一向に困らない・・・これが実際の市民感情ではないのか?これで果たして、市民の理解が得られるのか?

この素朴な市民感情の疑問に正しく答えることが出来なければ、中心市街地の活性化は理解が得られず事業の遂行は困難だ。単に商業者の生活設計だけのための事業であってはならないということだ。そして、郊外の大型店は地域に税金を落とさないということだ。

高松市に事例をおくと、そもそも、高松市中心部5Km圏は全市の面積比率でいうとわずか5%を占めるに過ぎないが、かつて全市の収入の75%をあげていた実績がある。かなり集積度の高い「コンパクトシティ」が、過去の人口増加、経済成長の波の中で見事に崩れ、都市は大きく郊外に広がってしまった。人口が減少し、高齢化が押し寄せる中で、自治体はこの広がりすぎてしまった都市の運営コストが出てこなくなった。この大きく広がりすぎてしまった都市は、人口減、高齢化社会という大地殻変動に対応するべく正しく縮まらなければならない。かつての「コンパクトシティ」をもう一度再構築し、人々を集積し、寄り添って暮らし安全で安心な、かつ過度に車に依存しなくても快適に生活でき、運営コストがしっかりと確保される効率的な「都市経営」の構築こそが焦眉の急である。

しかし、この論理の成立を阻害する最も大きな要因が「土地問題」である。つまり土地を所有する地権者は当然その土地の使用権を持っている。つまり、所有する土地はどのように利用しようが地権者の勝手であり、誰もがこれを制御することが出来なかった。シャッターの下りた商店を放置しようが、野原のままにしておこうが、駐車場にしようが、それらは全て地権者の勝手であり、もう一度居住者を集積させ商業を活性化させ、地域のお金が地域で循環する新しい仕組みを作り上げるには、この「土地問題の解決」を図らなければならない。丸亀町ではこの「土地問題を解決」するために土地の所有権と利用権を分離した。地権者は自分たちの共同出資会社である「まちづくり会社」と全員同意で定期借地権の設定を行うことにより自分たちの資産である土地を町に現物出資し、一定期間土地の利用権を放棄することにより、その中で商業の活性化(テナントミックス)を図り集積させ、その利益を地代として配当させたわけである。土地の所有と利用を分離することにより、無駄な利害調整は一切せずに、これからの高齢化・人口減に対応するべく必要な施設・業種を正しく配置するテナントミックスを合理的に行う仕組みを手にいれたということである。商業を活性化させることが利益を生み、それが地権者に地代として配当され、しかも税収が正しく確保される仕組みを作り上げたということである。

必要性と効果

幸いなことに市の中心部は、既に公共投資・民間投資の終わったインフラ整備の完了した地域である。ここに巧く投資を入れることにより都市は再生されてゆく。合意形成は、関係する全ての人々(地権者、市民、銀行、行政、国など)にとって誰もが割を食わないオールウィンの収支計画をいかに精度高く作り上げるかにかかっている。

丸亀町の効果の事例を紹介すると、建物の固定資産税だけを取り上げてみても竣工の終えたA街区は開発前、年間約400万円程度であったが、竣工後現在は3600万円を納税している。つまり、従前比900%である。また衰退した商店街では地権者は商売上は赤字決算であり納税が出来なかったが、土地の所有と利用を分離することで新たに配当として地代が地権者に払われ、ここに課税されることが税収増につながった。これこそがまさに、中心市街地活性化の必要性と効果である。

個々の利益より全体の利益を優先する時代がやってきたということであり、それがひいては自分たちの生活設計と安心、安全な老後を確保する最も合理的な手法であるということに地域の人々は気付くべきである。自分たちは後に続く子や孫に、またこの町に何を残してやれるのだろうか・・・?。市中心部にかつてのように、たくさんの市民が住み、そして賑わいが復帰し、憩いそして出会う、向こう100年を見据えたまちづくりをしなければならない。だから地域の人々は、地域に対して責任を負う「本気」の覚悟が必要なのであり、中心市街地の活性化は、手間のかかる作業ではあるが実現させなければこの国の将来はないということだ。

関連リンク

高松丸亀町商店街

登録日 2011年2月09日(水曜)00:00

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