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第46回 まちづくりコラム 「中心市街地で活気を呼び込む条件は」 金丸 弘美

金丸弘美

金丸 弘美(かなまる・ひろみ)

食環境ジャーナリスト、食総合プロデューサー。
執筆活動のほか、食の総合プロデューサーとして、ワークショップのプラニングから、プロモーション、ツアーへの展開、公開授業、幼稚園から大学まで各学校での食の講師などもてがける。執筆活動のテーマは、地域デザイン、食育と味覚ワークショップ、食からの地域再生、環境問題、地域活性化。日本ペンクラブ会員環境委員会幹事。総務省「頑張る地方応援室」地域人材力活性化事業懇談会委員。総務省地域力創造アドバイザーなど要職多数。著書に「田舎力 ヒト・夢・カネが集まる5つの法則」(NHK生活人新書)ほか多数。

中心市街地で活気を呼び込む条件は「歩ける、ものづくりがある、家賃が安い、調和のあるデザインがある」ことだと思っている。僕の故郷の唐津市の大正時代の商店街の様子を、もっとも人が賑わうお祭り「唐津くんち」をキーワードに、3年かけてお年寄りに昔の祭りの様子や生活、商店のことなどを聞き書きしたことがある。そこに地域の活性化のヒントが眠っているに違いないと思ったからだ。

かつては、道具屋、食べ物屋があり、醤油醸造、酒醸造があり、毎日、野菜や魚を売りに来るひき売りがありと、商店街で、ほぼ日常のものがそろっていたことがわかる。靴、桶など、日常の道具も商店街で作られていた。おまけに徒歩圏だから、たいていは日常に使うものはまかなえた。商店街の中心部には路上の魚や野菜などの市場があり賑わっていた。

ところが今は、唐津の商店街はすっかりさびれて空き店舗が目立ち、街も郊外も殺伐となっている。それは商店街の道路を拡幅し車の通路となり、郊外には大型店を誘致し、そこに連なるようにチェーン店が並ぶように、街の構造が激変したからだ。買い物は郊外へと車が必要となる。日常の品をちょっと買おうにもとても徒歩ではいけない。里山や畑、豊かだった川がなくなり、街と郊外の情緒のめりはりや憩いの場がすっかり消えうせた。こうなると観光地としての魅力も喪失してしまう。商店はお年寄りや子供たちが安心して歩けない。日常のものを購入する場も失われた。そもそも商店でのものづくりをするところが、ほとんどなくなった。地域ならではの魅力的な商品がない。街並みも新しい建築物でしかも全体のデザイン性と調和がない。かつての城下町の雰囲気は損なわれた。オリジナル性が希薄になれば、買い物客も激減してしまう。

さらに高速道路ができた。一時間もあれば、お隣の福岡や長崎に客が簡単に行ける。高速道路が無料になれば、街づくりをしっかりして景観が美しいところか、自然の豊かなところか、商業施設の充実したところに人は流れるだろう。

これから高齢化で人口が激減することは、はっきりしている。すでに2007年から団塊世代の定年が始まり生産人口は減り始めた。全国で空き家が増加傾向にあり年間20万戸ずつ増えている。学校も年間500校が閉鎖している。大型店舗は2009年から減少に転じている。ということは郊外のチェーン店でさえ閉店に追い込まれるところが今後は増加することとなる。

となると、郊外への拡散したインフラは、市の財政負担になる。生活者にとっても、日常の買い物が郊外へとなると不便このうえないだろう。これは唐津市だけではなく日本国内のほとんどの実情だろう。

一方、小さな町でも賑わっているのが愛媛県内子町。こちらはかつての旧市街地を残して、それに合わせた景観保護を実施している。直売所を町と地元の農家が出資し、ものづくりのための勉強会を毎月行っている。日常の商品が直売所で揃い、街並みと農村景観の美しさにひかれて観光客も多い。人口1万9000名だが 100万人が訪れる。山口県萩市の「道の駅 しーまーと」は、鮮魚、野菜、果樹、精肉、干物などをそろえた公設市場にしてしまった。人口4万8000名の街にかかわらず10億円を売り上げ、まだ右肩上がりだ。地域の人の日常の買い物の場となり、結果、観光客の誘致にもつながった。

逆に近代的建築物で商店街を居住、医療、ショップ、料理店、日常品の厳選した品ぞろえと計画的に進めて建設を進めているのが、高松市丸亀街商店街である。街並みがそろい始め、客層が変化し始めている。2010年12月にできたショップ「まちのシューレ963」は、高松市にある工芸、加工食品、雑貨がならぶ。市内をくまなく歩き、ものづくりのしっかりしたものをセレクトした店舗。調和と美しさと持続性のあるオリジナル商品を厳選して、しかも使い手側の目線で連動性をもたせて並べられている。居住と生活品のすぐれたものが一体化する商店が生まれつつある。内子町、丸亀町商店街の、二つの代表的な街並みと商店街をしっかり見てから、街づくりの先進地ドイツのフライブルグに行くと、ヨーロッパのスタイルをしっかり取り入れていることがわかる。商店街の車の制限、街並景観のデザイン、歩ける街づくり、商店や市場の優先、ものづくりの奨励、郊外の緑や農村風景との調和などである。これはイタリアの商店でも同様で、コンパクトななかに日常の必要なものが集まっている。「萩 しーまーと」は、さながらヨーロッパのマルシェに似ている。それもこれも都市計画として進めれてきたものだ。

街の調和、これが海外からの観光客を魅了することにもなっている。

登録日 2011年3月02日(水曜)00:00

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