コラム・事例紹介

大学生の街の案内人“自由が丘セザンジュ”

  • 登録日 2014年03月24日
    カテゴリー取組事例集

     東京都内でも屈指の人気の街、自由が丘。12支部、約1,300店舗が加盟する日本最大規模の商店街が広がっています。若者向けのカフェが並ぶ横には老舗の和菓子屋があるような、幅広い人たちが集まる街です。週末ともなれば、近隣の住民に加えて遠地からも老若男女、外国人など多様な人たちが訪れますし、毎年10月に開催される一年で最大のお祭りである「女神まつり」には、2日間で数十万人が集まっています。
     この街を引っ張っているのは自由が丘商店街振興組合です。自由が丘商店街振興組合は日本最大規模の商店街振興組合で、インフォメーションセンター、ウェブサイトの運営に加えて、街並みの整備などの活動を行い、地域通貨としての自由が丘エコポイントといった活動も積極的に進めています。
     自由が丘の案内人として活躍しているのが産業能率大学の学生で構成される「セザンジュ」です。セザンジュの取り組みを大学でリードしているのが、武内千草准教授です。セザンジュのスタート以来、積極的に取り組みを進めています。

はじまったきっかけは何でしょうか。

 セザンジュのはじまりは、治安の向上を目的としていました。2009年7月、東京都の体感治安改善事業のモデル地区に選ばれ、自由が丘として体感治安(人々が感覚的、主観的に感じている治安。実際の犯罪件数とは異なる場合がある)の向上に取り組むこととなったことがきっかけです。この取り組みの主体となったのは自由が丘防犯対策推進協議会ですが、協議会のみなさんは街の防犯を担った案内人を置くことが体感治安の向上につながると考え、産業能率大学に街角で案内などのボランティアができないか、という相談を持ちかけてくださいました。この声掛けに対して、産業能率大学は自由が丘に立地する大学として地域との連携につながること、地域との連携で行われる取り組みが学生の学びにつながることから快諾させていただきました。開始初年度は9名がセザンジュとなり、2009年12月にスタートしました。
 決まってから5か月でのスタートであったため、セザンジュの育成は制服の準備、一般的なマナー研修など、急ピッチで進められました。はじめた頃から現在まで、振興組合の会長や事務部長がリーダーシップを発揮してくださり、また大学が求める「学生を育てる」という目的も理解していただいて支えてくださっています。現在は、近隣の商店街からも「セザンジュに来てもらいたい」といった問い合わせがあったり、警察署や行政からの表彰を受けたりしており、認知度も大きく向上しています。
 産業能率大学は自由が丘コンシェルジュをはじめる前から、「アクティブラーニング」を積極的に取り入れてきました。アクティブラーニングとは「学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称」(文部科学省)のことです。自由が丘セザンジュの取り組みはまさにアクティブラーニングであり、自らが課題を設定し、解決を模索し、またお客さまに喜んでもらうという流れをすべて体験し、学ぶものです。解決できなかったテーマがあれば、メンバーで共有し、次の機会のために準備します。このような取り組みが継続的にサイクルとして機能しており、大学の地域連携だけではなく、学生にとっての学習効果も大きいものと考えています。
 大学の地域連携は、どこかに無理があっては続きません。自由が丘の事例は、商店街振興組合、大学、学生がそろって「お客さまのために」という気持ちで同じ方向を向いていることが続いている大きな理由だと考えています。誰かが無理をしたり、我慢したりすると続かないのです。関係者それぞれにメリットがあり、決して「教育のためだけ」ではなく、「地域連携をするから何かのテーマを探したわけ」ではなく、お客さまのためにというベクトルがそろっていることが、セザンジュの取り組みの最大の成功要因ではないでしょうか。

自由が丘セザンジュの様子①

自由が丘セザンジュの様子①

セザンジュは、現在どういったことをしていますか。

 セザンジュのメンバーは日曜日と祝日の12時から15時、自由が丘の街角で様々な人のニーズに応える役割を担っています。例えば、おみやげに関するアドバイスがあります。観光で訪れた方に、「どういう方に、どの程度の量のおみやげなのか」をセザンジュが聞き取り、その場でお勧めのお店や商品を伝えています。もし、十分に情報を伝えられない場合、対応しているメンバーでは十分にわからない場合は、トランシーバーで他のセザンジュに連絡を取り、お客さまに伝えるようにしています。現在、街角で案内を行う時間は日曜日・祝日の3時間です。時間内で多いときには100件を超す案内を行なうようになり、自由が丘の街の一員となっていると考えています。
 研修も行っています。スタート時に行っていたマナー研修に加えてホスピタリティー研修、自己表現研修、上級救命講習、英語研修等様々な研修を開いています。また、3時間の案内時間が終わった後は、メンバーが振り返りの時間を持つようにしています。「今日出た質問」「新しいお店」などについてその日のメンバー間で情報を交換し、メンバーのレベルを高める時間を取るようにしています。
 学生は新たに学ぶ姿勢を見せるようにもなってきました。案内人として適切なメイクやネイル等があるということに学生自らが気づき、適切なメイクやネイルを学ぶ場を希望するということがありました。大学ではこの希望に応え、適切なメイク等のための研修も実施しました。
 セザンジュは自らが十分な案内ができなかったときをきっかけに大きく成長します。2013年11月のことですが、セザンジュから「情報共有を強化したい」という課題提起がありました。この後、メンバーの話し合いを経て情報共有の取り組みの強化が進められています。具体的には、「ファッション」「スイーツ」「レストラン」など、6つのジャンルに分けたリスト作りがスタートしたのです。A4用紙1枚に、メンバーがそれぞれお店の情報を作り、共有しています。入れ替わりがあった場合は、「そこは新しいお店が入ったよ」というやり取りがメンバー同士で生まれ、定期的に情報は更新されていくようになっています。

自由が丘セザンジュの様子②

自由が丘セザンジュの様子②

セザンジュのメンバーはどのように育っていきますか。

 成長の成果は、コミュニケーションにも現れています。お客さまの心の機微がわかる学生が増えていきます。迷った人に声を掛けることについても、学生は「声をかけてもらいたい人」がわかるようです。そういった本当にお手伝いを必要としているお客さまに声をかけ、おみやげのアドバイス、お店の場所などを適切に伝えていきます。こういったことが自然にできるのがセザンジュの強みだと思いますし、こういったことができるようになっていきます。
 セザンジュはあくまでも学生ですから、メンバーを卒業するときが来ます。学生の多くは、就職活動をきっかけにセザンジュを卒業していきます。こうやって先輩からの伝統が引き継がれていきます。大学を卒業する際には、先輩たちが後輩に熱い想いを語り、中には泣いてしまうメンバーもいます。こうやってセザンジュの伝統がつながり、それぞれはメンバーであったことを誇りに思って卒業していきます。
 こういったメンバーの自覚は卒業後も残っています。卒業したメンバーも新たな情報がテレビなどで流れた際はすぐに現役のメンバーに連絡し、情報を共有しています。はじまって5年ですが、こういう取り組みが続けられています。

自由が丘セザンジュの様子③

自由が丘セザンジュの様子③

振興組合とは、どういったコミュニケーションを取っていますか。

 振興組合は、「セザンジュが自由が丘のいちばんのファンになる」という考え方でセザンジュを育成してきてくださいました。ファンであるセザンジュが街を語ることで、様々な地域から来ているお客さまが自由が丘のファンになることが大切だと考えておられます。そのため、組合の様々な調整に学生が入るのではなく、案内することに特化した仕組みを作り上げてくださいました。また、制服などの備品や必要な品物については振興組合に準備していただき、研修についても負担していただいている部分もあります。
 最初は振興組合も大学もお互いに手探りでした。振興組合も大学もその中で「続けてきたことが大事」なのではないかと考えています。振興組合にも考えがあるでしょうし、大学にも意向はあります。これらをすり合わせ、学生の教育・育成を効果的に行なっていくことが大学としては必要だと考えています。

セザンジュは今後どういった形に進化していくのでしょうか。

 現在(2014年3月)、セザンジュは61名です。男子学生も4名在籍しています。大学は、セザンジュをクラブ活動、「自由が丘コンシェルジュ」という授業の2本立てで運営しています。クラブ活動は1年生から3年生まで所属する一方、自由が丘コンシェルジュはホスピタリティコースの2年生を対象とした講義です。ホスピタリティコースの看板授業のひとつにまでなってきました。また、現在所属するセザンジュのうち3分の1は「セザンジュになりたくて産業能率大学を志望した」というほど、知名度も高くなってきました。
 セザンジュは、今後も「スマホに負けない案内」を目指して成長していきます。求められるものが変わっていくこともあるでしょうが、柔軟に対応し、定着させていきたいと考えています。
 セザンジュの活動日誌もブログ形式でインターネット上に公開されています。自由が丘を訪れ、わからないことがあった際はぜひセザンジュに声をかけてほしいと思います。

関連リンク

産業能率大学 | 自由が丘案内人 セザンジュが推薦! 自由が丘おすすめスポット
自由が丘商店街振興組合
自由が丘案内人 セザンジュblog

登録日 2014年3月24日(月曜)10:05

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