コラム・事例紹介

第60回 まちづくりコラム 「地域活性化の鍵を握る、産業支援とは」(後編)小出宗昭

小出 宗昭

小出 宗昭(こいで・むねあき)

富士市産業支援センター f-Biz センター長
金融業界に26年間在籍中、出向を通じて「企業支援」の可能性に目覚めたビジネスコンサルタント。法政大学経営学部卒業後、(株)静岡銀行に入行。M&A担当などを経て、01年2月静岡県静岡市に開設した創業支援施設「SOHOしずおか」へ出向、インキュベーションマネージャーに就任。起業家の創出と地域産業活性化に向けた支援活動が高い評価を受け、05年2月「Japan Venture Award 2005」(中小企業庁主催)において経済産業大臣表彰を受賞。08年7月(株)静岡銀行を退職し独立、(株)イドムを創業。08年8月より「富士市産業支援センターf-Biz」の運営を受託しセンター長に就任。支援家として活動をはじめて以来1,000件以上の新規ビジネス立ち上げを支援している。

まちを蘇らせる、地域企業支援のノウハウ

では、具体的にどうやって成果を生み出しているか、そのノウハウについて述べたい。
 大前提として、中小企業や商店の経営者たちは、誰もが経営的課題を抱え、現状よりよくありたいと考えていることを忘れてはならない。「よくなりたい」という向上心がビジネスの原動力になるからだ。
 彼らが抱える最大の経営課題は「売上げが上がらない」という点に集約される。この課題に対し、中小企業の場合、ヒト・モノ・カネなどの経営資源が乏しいところから成果を生み出さなくてはならない。我々のような支援機関の役割は、ヒト・モノ・カネに頼らず売上げを向上させるため、「知恵」を絞ることにある。
 その知恵とは、これまでの支援経験のなかから成果のあったものを分析し、導き出された次の3ポイントである。
①セールスポイント(強み)を明確化する
②ターゲットを絞る
③他社と連携する
 それぞれ簡単に解説する。

①セールスポイント(強み)を明確化する
 私は常に「会社が続いているのには必ず理由があり、それがその会社の強みであるはず」と考えている。支援のファーストステップは、その強みに気づくことである。
 強みの発見に、私は次の3要素から探ることが多い。
①話題性、新規性…「業界初」とか「県内初」とかの新しいしくみや技術など。
②社会性…介護や雇用問題など、社会的な問題を解決するための事業かどうか。
③共感性…人々が感情移入し、共感できる物語性をもったビジネスや人物。その人の人生そのものがブランドになるようなケース。
 企業との面談のなかで、この3点に注意しながら真のセールスポイントを探っていく。

②ターゲットを絞る
 商品やサービスが魅力的なのに、売上げが上がらないというケースが少なくない。その原因の多くは、ターゲットの絞り込みができていないことにある。特に商圏が狭く、商品アイテム数が少ない中小企業にとっては、ターゲットはできる限り明確にして、絞り込むほうが成功しやすい。

③他社と連携する
 単独でビジネスを展開するより、同業他社や異業種の企業や団体などと連携することによって、「1+1=∞」の可能性が広がることがある。次の3つのいずれかに当てはまる場合、積極的に連携を進めている。①双方に何らかのメリットが生まれ、Win-Winの関係を築けること。②双方のニーズが明確で、相乗効果を生むこと。③双方に新しい価値が生まれること。

こうした手法を駆使し、地域産業の活性化を目指し、新商品・新事業の立ち上げや、農林水産業者の6次産業化支援、異業種連携による新サービス開発などを支援してきた。貫いたのは、できるだけリスクをかけないため、「カネを使わず、知恵を使う」ことだ。
 f‐Bizが蓄積してきたノウハウは、現在、全国各地に広まりつつある。2009年10月以降、東京都豊島区、北海道釧路市、沖縄県浦添市、静岡県熱海市などに支援窓口が設置され、今後もさらに全国の複数の都市にf‐Bizモデルが拡がる計画である。

地域企業の再生は雇用創出にもつながる

 雇用創出は地域活性化の重要なテーマであり、各地で企業誘致活動が盛んに行われている。しかし、国内需要が縮小するなか、これ以上工場を国内に増やすことには限界がある。また、従来の企業誘致とは、1社で100名規模の雇用を生むことを狙ったプロジェクトである。それに対し、我々が取り組んでいるのは、1社1人の雇用を生むプロジェクト。一つの会社の規模は小さいが、地域のなかに1人の雇用を生み出す中小企業が100社生まれれば、100人の雇用創出につながるという戦略だ。
  大手企業の誘致がむずかしい現在、むしろ、1社でも多くの地元中小企業の活性化に力を入れたほうが雇用創出につながり、ひいては地域全体の底上げになる。これは、極めて現実性の高い手法なのである。

これからの時代、一気に経済が回復したり、地方が劇的に再生したりするようなことは見込めない。重要なのは、地域のなかの「今よりよくありたい」の一つひとつを全力でサポートすること。小さなイノベーションがいくつも生まれ、それが束となって大きなイノベーションとなり、地域全体を活性化する原動力になる。
 我々f‐Bizは、こうした「産業支援施設を核とした地域活性化」と、そのロールモデルの確立を目指し、今後も、地域を支える経営者や起業を考える人たちの前向きなチャレンジをサポートしていきたい。

f-biz

関連リンク

株式会社イドム

 

登録日 2014年1月24日(金曜)00:00

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