コラム・事例紹介

第63回 まちづくりコラム プロセスマネジメントからの育成視点(前編)佐藤皓祠

佐藤 皓祠

佐藤 皓祠(さとう・ひろし)

北九州市黒崎地区中心市街地活性化協議会
タウンマネージャー
有限会社日智 代表取締役
大学卒業後(株)そごう百貨店に入社、顧客管理や系列化施策、マーケティングや外販営業企画,商品開発に取り組む。㈱そごう退社後、流通小売系を中心に営業コンサルティング会社有限会社 日智(ニッチ)を設立し、その後国の外郭機関や行政、商工会議所の中小企業、地域活性化事業支援など経済、地域活性化に取り組む。平成19年9月、北九州商工会議所「食のブランド認定事業」の専門委員会に参加。以後、北九州市市内の地域ブランド開発や、県内外県連、商工会の地域開発関連事業に多数専門家として参加、支援を実施。平成25年4月、内閣府内閣官房より地域活性化伝道師を委嘱。

プロセスマネジメントからの育成視点

 平成20年7月、北九州市黒崎地区の中心市街地活性化基本計画は、小倉地区とともに、国(内閣府)によって認定された。黒崎地区は北九州市の副都心として、活性化に向けた大きなチャンスを手に入れたこととなる。
 都心として先行する小倉地区には、すでにタウンマネージャーが設置されており、その司令塔の下にエリアネジメント計画が起案され、動き出そうとしていた。また、商店街や協議会会員の活性化に対する投資意欲も高く、国の支援措置を活用した事業計画も盛り沢山であった。商店街には特に活動主体となりえる組織も存在しており、着々と基本計画が実施されていった。
 そのころの黒崎地区はどうだったのか。実は小倉地区とは大いに掛け離れた状態であった。基本計画には黒崎地区活性化のための新たな民間主導の計画はほとんど無く、活性化の起爆剤となりえるような事業は建設事業者による商業施設「コムシティ再生事業」のみで、交通事業者などは本来の事業計画を盛り込むに留まり、ほとんどの事業計画は市の行う公共事業であった。商店街自らが智恵を絞り、汗をかく、そのような活性化事業計画は現実的には無かった。

黒崎地区中心市街地空洞化の要因および問題意識

  1. 市内人口の減少:2030年には市内人口の減少が起こり、労働人口も減少、一方で、社会福祉依存率層が大幅増となることが予想。北九州都市圏郊外開発でのマーケット占有競争も続く。

    北九州市市内人口予測
    分類2005年2030年増減比
    15歳未満 131,893 (13.3%) 72,308 (9.6%) ▲45.2%
    15歳以上65歳未満 639,776 (64.4%) 437,638 (58.2%) ▲31.6%
    65歳以上 220,985 (22.2%) 242,103 (32.2%) + 9.6%
    総人口 993,525 752,049 ▲24.3%
    出所)日銀2007資料より推計
    (前提:出生率1.30、2000~2005実績同様の人口変化率)


  2. 中心市街地商業地区の再生は都市間競争激化の中、福岡超一極集中の中で可能か
    (小倉に続く副都心商業機能の再整備のあり方)

  3. 黒崎駅南側半径2km圏内の加速的高齢化と、日常的生活インフラの変化
    (公共交通網の統廃合の懸念、近未来での買物難民の発生予測)

  4. 地代家賃の高値固定化で、駅前に近い商店街空き店舗ほど疲弊

  5. 企業城下町であり、また旧大店法時代の商店街に対する保護政策、大企業からの憂慮策などによる公助の多発(自助意識の欠落へ)

  6. 中心市街地商業地区の再生は都市間競争激化の中、福岡超一極集中の中で可能か

  7. 商店街や地域からの要望は「まちづくり」ではなく「足づくり」「箱づくり」
    (道路整備や駐車場整備、不可能な魅力施設の誘致が中心要望)

  8. 大規模な民間投資が無く、面的な再生ができない(空き店舗単位や単体開発が中心)

 このような状況の中、平成20年11月より中小機構の協議会アドバイザーとして黒崎地区に入り、最初に行ったことは協議会、幹事会の会員を中心に、基本計画を基に自分たちの言葉で黒崎のコンセプトをつくるところからであった。勉強会を重ね、地域の参加者が増え、商店街の現実的な事情や外部参加者の姿や活動が見えてくる中、私自身に大きな疑問が湧いてきた。
 それは、「商店街組合に能動的な動きが無く、若手参加者がいないこと」、「外部支援者や支援団体は、それぞれの連携や情報共有の場が無く、バラバラの活動をしていること」、「地域の活性化団体の活動が、中心市街地活性化の目的や目標、まちづくりのコンセプトに沿った活動と必ずしも一致していないこと」など、現実的な問題として浮き上がってきた。

中心市街地活性化現場の状況

◯商店街組織の弱体化

  • カリスマ理事長が消え、商店街事業の立案や意思決定にリスクを負えるリーダーがいなくなった
  • 商店街が豊かな時代に収益事業を立ち上げていない、あるいは事業を中止した商店街が多い
  • 国や地方行政の支援措置に関する申請書を書けるような事務局機能を有する商店街組合(事務局機能が無かった)

◯商店街組合と周辺団体との結束感が希薄

  • イベントを企画・実施する賑わい支援団体と商店街との協働する仕組みや体制が希薄で、どちらにも活動そのものに不満が多い

◯次期まちづくりリーダー(タウンマネージャー)の掘り起こし、育成が急務

  • マーケティング分析力、企画折衝力、調整力のバランスが取れたマネジメントができる人材の育成は急務

◯次期まちづくりリーダー(タウンマネージャー)の掘り起こし、育成が急務

  • 街に貢献する事業から収益を得る仕組みづくりが不足
  • まちづくりでいう収益とは、参加する組織(商店街、まちづくり会社、ボランティア、行政それぞれの意味する利益)が利益をかなえる循環型の事業スキームが必要
  • 指定管理制度にたよるだけではまちづくり会社は生き残れない
  • タウンマネージャーが安定してまちづくり活動ができる経済基盤の確立が大命題

 その後、平成21年5月からは、黒崎地区中心市街地活性化協議会タウンマネージャーに就任、数値目標に向かった活性化事業を実施していく中で、新たな活性化事業計画を積み上げていく必要性を感じたため、ゾーニング計画策定とともに、アクションプランを起案していった。しかし、その過程でも「事業主体がいない」「事業資金の不足」の現実にたびたび直面し、計画実施に大きな足かせとなっていた。

タウンマネジメント活動から見えてきた課題

◯環境整備の展望:過去、現在、そして未来

  • 地域における生活インフラ環境の分析(都市交通専門部会の設置)
  • 近郊エリア(小倉・福岡)との「まち機能」のすみ分け
  • 統計調査、アンケート調査、環境要因データ分析や資料収集

◯活性化要因の分析と整理

  • エリアのSWOT分析
  • 街区の役割や導線の考え方
  • ゲートゾーンの機能整理
  • 3核8ゾーンのゾーニングプラン策定

◯事業を担うプレイヤー探し

  • 商店街組織の高齢化とともに強いリーダーの不在
  • 外部の活性化活動グループとの情報が共有できていない
  • 新たなプレイヤーの掘り起こし活動が急務

矢印

タウンマネジメントの必要要件

エリア

エリア エリア

マネジメント活動
安心・安全、福祉など地域の暮らしを支
える事業のマネジメント活動、地域のル
ールに基づく個別建築行為等に関する地
区計画などの啓発、支援活動など

プロデュース活動
市街地に新たな価値を創出し、地域のブ
ランド力や活力を高める諸活動。空き店
舗などの活用(リノベーション)や導入
すべき機能の誘致・支援、呼び水的地区
開発、イベント企画・実施に伴う支援活
動など

コーディネート活動
地域の機運啓発・合意形成、土地利用や
地域活動に係るルールづくり、行政など
関係機関との調整、地域住民相互の調整
など

矢印

総合的なまちづくり視点からのマネジメント活動

  1. 調査活動(地域ポテンシャル、地域資源、地域ニーズ、効果と時間軸)
  2. 啓発活動、合意形成の手法(まちづくり塾、まちづくりのコンセプトワーク)
  3. 事業主体、事業資金、運営事務局の執行能力の強化・整備
  4. ゾーニング計画の策定(コア計画、導線計画、回遊計画、誘引計画)
  5. アクションプランの策定(戦略的事業計画、施設配置計画、工程計画)
  6. 組織運営に関するマネジメント
  7. 人材育成事業の推進(タウンマネージャー、地域リーダー、商店街組織)
  8. 継続的まちづくり活動の仕組みづくり(目的別まちづくり会社の収益事業)

 このような事態に対し、平成21年度より「黒崎まちづくり塾」を開催、まずは中心市街地活性化基本計画とは何か?まちづくり活動とは何か?全国で始まった新たなまちづくりへの取組みは?などをテーマに、関心のありそうな個人や活動団体、商店街関係者などを集めて勉強会と懇親会を開催していった。まちづくり活動初期段階としての「関心者グループの名簿化」「やりたいこと探し」「参画意識の啓発」などを皮切りに、危機感を持った人材育成をスタートさせた。

登録日 2014年2月28日(金曜)03:53

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