コラム・事例紹介

第66回 まちづくりコラム 被災商業地が‘新生’するために(後編)東朋治

東 朋治

東 朋治(あずま・ともはる)

有限会社協働研究所 取締役
大学卒業後、鉄鋼会社勤務を経て阪神大震災後の新長田まちづくり(株)に入社し、阪神大震災被災商業地の復興に従事。主にテナントリーシングや地域活性化等を担当。(株)神戸ながたTMO総括マネージャー、神戸・新長田中心市街地活性化協議会事務局長を兼務後、平成22年、現会社に転籍。現在、商店街(タウン)マネージャーの養成や創業支援をはじめ全国の中心市街地活性化サポートに従事。また、(株)全国商店街支援センター「東日本大震災商業復興支援統括マネージャー」として岩手県宮古市の中心市街地商店街復興に尽力。

長期

 日本全国で少子高齢化に伴う人口減少社会に突入している最中、特に三陸沿岸では商圏内人口が増加することは考えにくい。
 市町村の復興計画が推進計画に移行するに連れ、仮設住宅入居期限後の受皿となる公営住宅の整備が進められる。高台集団移転事業等を除くと、津波避難ビルも兼ね備えた住宅は浸水地域内外の利便性が高い中心部に整備されるだろう。利便性の悪い立地では、新たな買物難民対策に追われる。これを機に市全体でコンパクトシティ化が推進すべきだ。
 被害が軽微な商業地域では、解体区画後の活用が重要。壊滅地区からの店舗受け皿機能を果たしていくことが望ましい。
 一般的に解体区画は駐車場になることが多く、お客にとって利便性は高まるが集積効果が薄れロードサード型が進み、商店街としての連続性が失われてしまう。
 震災を機に、商店街が本来有するコミュニティ機能が再認識された。被災住民が集い情報交換や交流を促すコミュニティスペースの整備と積極的な活用は欠かせない。個店の魅力向上と並行し、大型SCにない「顔の見える関係づくり」はますます重要になる。
 三陸沿岸は漁業関係者ではなく商業・サービス業従事者も極めて多い。これらの従事者の早急な再建が雇用の受け皿にもつながり、被災自治体を底支えする。
 被災地に限らず、全国的に商業床面積は大型店も含めすでに飽和状態。商住混在した地域型、近隣型商業地域は疲弊している。安易な空店舗対策は新たな空店舗を生み出すだけ。
 空区画などを換地集約し、住宅や都市基盤施設の整備も含めた「適正な商業面積の維持とダウンサイジング」がこれからのキーワード。既存商店街の賑わい創出と商住混在型の利便性の高いコンパクトシティ化の中核を担う商店街として再スタートする機会でもある。必要なのは「震災前よりも売上が上がる」商店街や商店を目指すことだ。
 現地で再開を希望する店主は年々減っていく。工事期間が延びればそれだけ増える。復活した商業地が空店舗だらけの街になりかねない。都市計画決定されたことを変更することは容易ではないが、毎年でも事業規模を見なおす弾力性が求められる。イニシャルコスト以上にランニングコストも大きな問題になるからだ。

阪神と東日本の違いと共通点

 神戸と三陸沿岸の小都市とは都市規模、倒壊・火災と津波、被害範囲など大きく異なる。立地や災害の類型以外に、特に小売商業において異なっている点がある。
 1点目は店舗資金力。阪神大震災の1995年はバブル景気終息直後だったが、店舗余力が残されていた時代。時を経た2011年までの間、長期不況で貯蓄を切り崩し、再建資金が工面できない場合が多かった。
 2点目は商店主の高齢化。阪神の際は40代中心だったが、高齢化と後継者難も重複し、三陸に限らず全国的に商店主の年齢は上がっている。商売再開の意欲が減少し、災害を機に廃業を決意した商店主も少なくない。
 大津波前から三陸の商業地域は疲弊してきたという。盛土と一体の区画整理事業を採択した地域では、記憶通りの街に戻すことは残念ながら不可能である。加えて、同一手法の都市整備事業のためどこも近似した街並みになることは否めない。やむおえぬ状況下でどれだけ商機能と住機能を近接させ、廃業者の増加を防ぎ、公共施設も含め機能集約できるかがポイントである。
 三陸沿岸の被災商業地域では元の街に戻すのではなく、独自の新しい小規模都市としての「新生」を目指すべきと考える。
 津波や地震だけでなく大雨や台風による洪水は頻発し、密集地では火災が後を絶たない。平常時からの備えと安全安心な商店街の研究を続けている地域は、発災後の取組が非常にスムーズ。この点は阪神も東日本も共通している。
 対岸の火事ではなく、ぜひ日頃から減災の研究に取り組んでいただきたい。商業地は地域住民に商品やサービスだけでなく、安全と安心を提供するコミュニティの核でもあるのだから。

 

登録日 2014年3月12日(水曜)00:14

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