コラム・事例紹介

みんなでまちを楽しむ! -旧グッゲンハイム邸を拠点とする神戸塩屋のまちづくり-(後編) 森本アリさん

森本 アリ

森本アリ(もりもと・あり)

1996年 Ecole de recherche graphique(ベルギー/ブリュッセル)卒。音楽家。神戸、塩屋の築105年の西洋館「旧グッゲンハイム邸」管理人として、企業や行政とは一味違った管理運営を行う。
音楽家として、「三田村管打団?」「ペ・ド・グ」「音遊びの会」などで活動する傍らソロ演奏やワークショプ等も行っている。また、「シオヤプロジェクト」(シオプロ)を主宰し、「塩屋まちづくり推進会」「塩屋商店会」等で、まちづくりに関する活動も行っている。著書に「旧グッゲンハイム邸物語 未来に生きる建築と、小さな町の豊かな暮らし」がある。

アリさんが管理されている旧グッゲンハイム邸についてもお伺いしたいと思います。

森本 アリ

 旧グッゲンハイム邸は、1912年塩屋海岸を南に望む高台にアメリカ人貿易商グッゲンハイムが自邸として建設したコロニアル様式の建物です。
 今でこそ僕が管理人を務め、結婚パーティーやコンサート、各種教室、ロケ撮影などなどに幅広く使われていますが、当初、僕はこの建物を買い取って再生することに家族の中でひとり猛反対していました。月並みですが、行政がやるべきことだというのが僕の主な主張でした。大学で文化資源学を専攻していた妹は利活用に積極的で、ステンドグラス作家の母はこの洋館をアトリエにすることを夢見たことがあり、双方ともに思い入れが深かったのですが、僕は大変なものを背負いこむという重荷しか感じませんでした。そして、侃々諤々の家族会議の末、2007年に一家の私財を投げうって購入、保全・維持することになったのです。
 旧グッゲンハイム邸のこけら落としは妹の結婚式でした。それまでにある程度の修繕をプロの手を借りて行い、出来る部分は手弁当でも行い、妹の結婚式は無事に開催することができました。とはいえ、最初のうちはなかなか利用されませんでした。
 転機になったのは、クラムボンの原田郁子さんと三田村管打団?との録音の話が盛り上がり、彼女が洋館に滞在し、その空気が色濃く反映されたアルバムが作成されたことでした。アルバム発表後のツアー日程の5月の一番いい週末に開催されたコンサートに、多くの観客や、会場に興味津々の関係者が訪れ、この時のお客さんと関係者から利用者がでてきました。僕自身も自信をつけ、「塩屋音楽会」という屋号を設け、いくつものコンサートを企画し始めました。それから幅広い利用が入るようになり、今では週末は半年先まで埋まっていたりします。


 旧グッゲンハイム邸の裏手にある長屋もとても大事です。これは、以前の持ち主が従業員寮として建てたプレハブの建物を利活用したシェアハウスです。僕は、元々、旧グッゲンハイム邸の所有については大反対でしたが、一見値打ちの低いこのプレハブを自由に使い、若者が住み集う建物として再生させることにはワクワクしました。ヨーロッパ留学時代に、学生たちが一軒家をシェアし、DIYでリノベーションを施し、独自のルールを定めて共同生活を送るということを身近に体感していました。
 口コミで住人はすぐに埋まり、彼らとそれぞれの部屋を修繕しました。しかも入居者の半数以上が、吹けないのにトランペットを持っているというおまけが付いていたため、吹けないトランペット吹奏集団「ペ・ド・グ」も結成されました。多い時にはメンバーが15人にもなり、その全員がトランペット。吹けない奇特な楽団として大きなフェスにも呼ばれるようになりました。結成から十年を迎えて、元住人の子連れでの参加も増え、楽団自体が1つのコミュニティと化しています。
 長屋の元住人には、現在旧グッゲンハイム邸のスタッフとして参加している小山くん、塩屋商店街にワンダカレーを開店した松田くん、さらにピザ屋AKIRATSCH(アキラッチ)を開店した大川くんがいます。新しい取組や個性的な店舗をもたらすという意味で、彼らは塩屋のまちの小さな革命を続けています。
 私たち家族が5年間、住宅として使用した事務局棟も、友人たちの要望に応えてシェアオフィスとなりました。塩屋商店会や、僕たちの文化的「まちあそび」を促進する団体「シオヤプロジェクト」の中核を担う、編集者の山森さん、グラフィックデザインの藤原さん、さらにイラストレーター、写真家も在籍し、ちょっとした編集プロダクション状態です。そのほぼ全員が、近隣からも含めれば移住者です。
 塩屋を訪れ、移住する人も増えてきました。特に子育て世代からは車の少ない子供が道の真ん中を歩いていても安心できるまちとして気に入られています。再生した旧グッゲンハイム邸と長屋が、まちのコミュニティ活動を支える拠点となったことが、こうした新しく塩屋を訪れ、住まう人を増やすきっかけのひとつになったのはとても喜ばしいことです。

長屋の住人が引っ越しする際に行われる「朝ごはんの会」

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関連リンク

森本アリ氏ブログ
しおや歩き回り音楽会(2016年告知)
塩屋百景
旧グッゲンハイム邸
三田村管打団?
シオヤプロジェクト
塩屋商店会
塩屋まちづくり推進会
「みんなでまちを楽しむ! -旧グッゲンハイム邸を拠点とする神戸塩屋のまちづくり-」(前編)

登録日 2018年3月09日(金曜)00:00

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