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第51回 まちづくりコラム 「コミュニティデザインでまちを元気に」その2 山崎 亮

山崎亮

山崎 亮(やまざき・りょう)

コミュニティデザイナー/studio-L代表/京都造形芸術大学教授
1973年愛知県生まれ。大阪府立大学農学部卒業(緑地計画工学専攻)。メルボルン工科大学環境デザイン学部(ランドスケープアーキテクチュア専攻)留学、大阪府立大学大学院(地域生態工学専攻)修了。SEN環境計画室を経て2005年にstudio-L設立。現在、京都造形芸術大学教授。 主な著書に、『コミュニティデザイン(学芸出版社)』、『ランドスケープデザインの歴史(学芸出版社、編著)』、『震災のためにデザ インは何が可能か(NTT出版/共著)』など。(顔写真撮影:勝見一平)

コミュニティデザイン=「人のつながり」をデザインすることで、離島から大都市に至るまで、まちとそこに住む人たちを元気にしているコミュニティデザイナーの山崎亮さん。鹿児島では大手百貨店が撤退した後の商業施設の各階に地元のコミュニティ活動団体の拠点を導入し、大いに賑わう「買い物集会所」として生まれ変わらせました。山崎さんに、コミュニティデザインとは何か、どのように進めればいいのかについて、ご紹介いただきました。

コミュニティデザインはヒアリングから

前回のコラムでは、有馬富士公園、鹿児島市の中心市街地にあるマルヤガーデンズ、延岡駅周辺整備事業と3つの事例を紹介しましたが、テーマ型のコミュニティをつくるためにぼくたちが具体的に何をするか、大きく分けると4段階あります。

第一段階はまず、ヒアリング。地域の人の情報を聞くことと、その人と友達になるというふたつの意味があります。 地方自治体に登録しているNPOなどの団体を福祉、教育、環境などテーマ毎に分けて、面白そうな人に話を聞きます。 伺う内容は、その団体の活動内容、行き詰まっていることがあれば課題、他に面白い団体があれば教えてください、とこの3点を聞くようにしています。行き詰まっている課題を伺うのは、もしもぼくたちが解決案を提案できれば、ぼくたちのプロジェクトに参加してくれるはずだからです。

第二段階は、参加してくれた団体が集まって実施するワークショップです。団体の代表者同士はすべて知り合いではないので、7人ずつのテーブルをつくり、自分たちの活動をどうよりよくするのか、そしてその活動がよくなればまちがどうよくなるのかを話してもらいます。 そうすると、そのまちの課題と特徴を皆で共有することができますので、そこから、特徴を生かした課題解決方法として何ができるかを話し合います。

第三段階目は、チームビルディングです。それぞれが協働できるプラットフォームや関係性をつくります。

それができれば、四段階目として、初動期の活動を支援します。たとえばイベントをやったことがなかったパソコン教室には受付の仕方や事前準備の仕方などを伝えます。お金がかかるイベントは、どこから予算を捻出するか、助成金の申請の仕方を伝授したり……。彼ら自身がチラシの作成や会計処理ができるようになって、自分たちで運営していけるようになれば、ぼくらはそこから去っていくというのが大まかな流れです。

ただ、ぼくたちはヒアリングする中で、人間関係を読み解きながらフローを考えます。やみくもに30団体を集めてワークショップをすれば、そのコミュニティが壊れてしまうことだってあります。だから、上記のフローを教科書化することにぼくは違和感がありますし、その通りにやると失敗例が増えていくことが心配です。

外部の人間だからこそできること

中心市街地にはまだ地縁型コミュニティが強いところもあります。地域のしがらみもたくさんある。そうすると、立ち上がりたくても立ち上がれない人がいることになります。たとえば対立関係があるような場合、まちづくりの専門家など外部の人間をうまく入れて、地元の関係性を変えていく方法があると思います。

地縁型のコミュニティが一緒に集うことができるプラットフォームをつくる。先ほど3段階目であげたチームビルティングは、まさにそういう役割です。そのキッカケを地元の中で作り出すのは、難しい側面もあると思います。まちのためにやろうとしていても、「自分の商売のためにやっているのだろう」など批判が出る場合もあります。もちろん、うまくやっておられる方もいらっしゃると思いますけれど。

問題が生じたとき、外部の人間なら発注をやめればすみますが、地元の人がコミュニティデザインに失敗すると痛手が大きい。ヨソモノ、ワカモノ、バカモノという言い方をよくしますが、そうした人の存在は重要だと思います。

庭師のようにコミュニティを育てる仕事

ぼくは元々農学部出身のランドスケープデザイナーでしたので、植物の成長と共に空間も育っていくと思っています。地域も同じで、施設が新しくなったときが一番いい空間ではなく、まちが育っていくような仕組みをつくりたいです。

庭師のように成長を見守る人がいて、時に枝を落としたりしながら良好な環境に育てていく。コミュニティデザインは庭師に似ていて、人が出入りしたり育ったりするさまを見ながら、人と人の関係がどういう風に影響を与え合って変容していくかマネジメントし、状況をつくる仕事です。

そういうマネージャーが現れると、商店街もぜんぜんちがう仕組みができる可能性があります。今までは自分のお店を自分で管理するはずだったのが、街路や空き店舗、あるいは1本向こうの通りまでマネジメントする主体がいれば、商店街の戦略は大きく変わるのではないでしょうか。そのためには、自分たちの商店街がどのような魅力を持っているのかを、商店街の人自身が理解して、組み替えていく必要があると思います。

その地域から専門家がいなくなっても、うまく回っていく仕組みをつくるのが、ぼくたちの仕事です。ですから、地元のリーダーになる人に、共に動いてもらい、一緒にワークショップもやってもらいます。ワークショップは楽しいことが大切ですから、そこでどのように振る舞うとよいか、会議の応答の仕方などをその都度振り返って、伝えます。基本的なコミュニケーションができれば、どんな人でもリーダーになれる可能性があります。

実を言うと、地域の面白い人と触れあう中で一緒に何かをやりたくなって、結果的に仕事として「人のつながり」をつくっていくことになったのが、ぼくたちの活動です。最初から「コミュニティ」を意識していたわけではありません。後からこれを何と呼ぼうかと考え「コミュニティデザイン」と名付けましたが、簡単に言うと「楽しいことやっています」という感じかもしれません。(笑)

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まちづくりQ&A「ワークショップからの担い手づくり」〜合意形成から主体形成へ~山崎亮

関連リンク

studio-L
京都造形芸術大学

登録日 2011年8月24日(水曜)00:00

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